THE ALFEE 古希でも変わらぬ固い絆「あれ?もう50年」 41年ぶり紅白で「星空のディスタンス」披露
今年デビュー50周年の3人組ロックバンド・THE ALFEEが、大みそかの「第75回NHK紅白歌合戦」(後7・20)に41年ぶりに出場し、1年を締めくくる。3人は10代で出会い、本年度で古希という節目を迎えている。デビューから半世紀にもかかわらず、現在までメンバーチェンジや活動休止はなし。コンスタントにライブをこなし、新曲を送り出す長寿バンドになれたのは、天下一品の関係性に理由があった。 男の友情で50年。大御所バンドながら、会話はまるで“トリオ漫才”を見ているようだ。高見沢俊彦(70)が「50年の実感としては早くて『あれ?もう50年』という感じだから、100年いけるんじゃない?」とデビューから半世紀の心境を語れば、横の2人が「いくつだよ」と即座にツッコむ。心地よい会話のテンポ感に、長寿バンドたるゆえんが詰まっている。 方向性の違いによる解散危機はバンドあるあるだが、3人は「ないですね~」と口をそろえる。自己主張するメンバーがいないことが長続きのコツと分析し、坂崎幸之助(70)は「筒美京平先生に『他のミュージシャンと違って素直』と言われた。我がなかったんだな」と回想。桜井賢(69)は「皆(ほかのバンド)が必死にやっている時にトランプをやっているようなバンドです」と笑い交じりに自己紹介する。 3人ともメインボーカルを張れる希有なバンドだ。ほぼ全ての楽曲制作を手がけている高見沢は「それぞれの声質や性格を生かした物を作っている」とこだわりを明かすが、「とにかく3人とも歌いたがらない」とメインがなかなか決まらない状況に困惑。最終的にオーディションと多数決で決める流れになるが、「多数決だと大体桜井になります」とボーカルを巡る裏話を披露する。 74年8月発売のALFEEのデビューシングルは、A面は高見沢がメインの「夏しぐれ」、B面は桜井がメインの「危険なリンゴ」を収録。元々は「危険なリンゴ」がA面予定だったといい、桜井は「A面は俺の『危険なリンゴ』で行くんだなと思っていたら、高見沢を見たスタッフが『いいね~』って。先生も『高見沢君のためにもう一曲書こう』って。それがA面になって、俺のはB面になった。俺はB面歌手です」と自虐。坂崎は「桜井の声でデビューしようねって言ってたのに。そこから桜井の悲劇が始まった」と畳みかける。 個性的な容姿の3人。高見沢はロン毛な王子様ルック、坂崎はメガネ、桜井はサングラス&ヒゲがトレードマークだ。坂崎はメガネを大学時代にかけ始め、桜井は研ナオコのバックバンドを担当していた70年代にサングラスをかけ始めた。ゴージャスな見た目の高見沢だが、坂崎が「最初は高見沢が一番おとなしかった」と証言するように、現在のスタイルにたどり着くまで迷走した。初期はもっさりとしたパーマヘア。短髪を経て、徐々にロングヘアに進化していく。 高見沢は「デヴィッド・ボウイとかグラムロックにハマって。メークや衣装が派手で、これをアコースティックグループでやっていいのかと葛藤はあったけど、そこから取り入れた」と裏話を明かす。古希ながら美髪を維持しており、「これは母の遺伝」と感謝。桜井は「髪と歯は遺伝する。うちの親ももう少しな~」、坂崎も「おじいちゃんがな~」とうなった。 容姿の個性はバラバラながら、視線は同じ方向を向いている。これまでのコンサート本数は通算2944本で、国内バンドにおいて自身が保持する最多記録を更新中だ。高見沢は「当面は3000本が目標」と語ると、2人もうなずく。がむしゃらに音楽と向き合い続けるモンスターバンドは今年、41年ぶりの紅白で「星空のディスタンス」を披露。古希となっても変わらぬ固い絆をテレビ前で証明する。 ◆THE ALFEE(ジ・アルフィー)1973年に明治学院大学キャンパスで出会い、グループを結成。74年8月にシングル「夏しぐれ」でデビュー。83年のデビュー9年目でシングル「メリーアン」がヒットし、同年の「第34回NHK紅白歌合戦」に初出場を果たした。現在に至るまで日本の音楽シーンを代表するバンドとして活躍している。