サモア文化に生きる第3の性“ファファフィネ”のカイマナが、実在するW杯予選史上初のトランスジェンダーのサッカー選手役を好演 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』
タイカ・ワイティティ監督が『ジョジョ・ラビット』の製作スタジオ、サーチライト・ピクチャーズと再びタッグを組んだ最新作、映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』。 2001年、ワールドカップ予選史上最悪の0-31の大敗を喫して以来、1ゴールも決められていない米領サモアチームに、破天荒な性格でアメリカを追われた鬼コーチ、トーマス・ロンゲンがやってくる。2014年に『ネクスト・ゴール!世界最弱のサッカー代表チーム0対31からの挑戦』としてドキュメンタリー映画化にもなった奇跡の実話が、タイカ・ワイティティ監督によって実写映画化された。 本作で、米領サモアチームのストライカーであり、島で最も影響力のある人物として登場するのが、実際にFIFAワールドカップ予選に出場した世界初のトランスジェンダーのサッカー選手、ジャイヤ・サエルア。 ジャイヤは、米領サモアの文化において男性と女性の両方の性徴を体現していると認識されている第3の性“ファファフィネ”。ポリネシア文化にルーツを持つ監督のタイカ・ワイティティも“ファファフィネ”について、「彼らの文化における神聖な部分であり、皆から受け入れられています」と語る。 そんなジャイヤ役を、自身もサモア出身で“ファファフィネ”の性を持ち、本作で俳優デビューを果たした、カイマナが演じた。 この作品の制作にあたってモデルになった人物はたくさんいるが、実在する本人と対面したのは、ジャイヤを演じたカイマナのみ。 ジャイヤは「この物語は、私のストーリーや人生を正確に再現したものではないことを理解しています。もちろん私の名前が使われて、私の要素を持つキャラクターですが、でも同時にカイマナの要素もある。さらにこのキャラクターには、タイカの要素も書き込まれているのです。」と、映画の中で自身をベースに描かれたキャラクターは、演じたカイマナや、監督であるタイカ・ワイティティらしさも交えながら作り上げられたキャラクターであり、それを喜びをもって受け入れていると話した。 一方のカイマナも、ジャイヤとの対面を通して自然体のまま演技に臨むことができたという。「私たちはとても似ているので、現実のジャイヤと映画で描かれるキャラクターから自分自身を切り離す必要はありませんでした。初めての演技というだけでなく、それが実在する生きた人物だったので、自分はとんでもないところに来てしまったと思っていました。でも、彼女がアドバイスをくれたことで、よりリラックスできて、役作りをすることができたと思います。」とジャイヤからのアドバイスへ感謝の想いを語り、役作りの充実感を語っている。 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』は、公開中。
otocoto編集部