更年期、気づいたら高血圧!?~原因と漢方的改善法~
漢方的には〈瘀血〉や〈気滞・気虚〉を取り除くことが大切です
《高血圧を漢方的に見ると〈瘀血〉がある状態》 〈瘀血〉で血液がドロドロになりやすいことが大きな原因。 ≫≫瘀血を防ぎ血流をよくするために 血流をよくするために、しっかり筋肉を動かすこと。特に下半身を動かすこと。
血流をよくするためにおすすめなのは以下。 ・かかとあげ(60回を1回として) ・一本足で1分立つ運動(1分1回を交互に3回) ・ふくらはぎマッサージ。委中(膝の後ろの中央)・承山(ふくらはぎの後面の中央)のツボ
「この2つのツボを通る足太陽膀胱経は、腎のはたらきを高め、気を流す効果もあり、腰痛、背中の凝りなどにもよい。腎のちからが落ちることで血圧も上がりやすくなるので、こちらのツボをお風呂上がりなどマッサージするように押すことをおすすめします」
《「気」をのびやかにしておきましょう》 もう一つ、高血圧対策として欠かせないのが、「気」をのびやかにしておくこと。気が滞る〈気滞〉になると、イライラしやすく気が上昇する。また、気が少なくなる〈気虚〉になると、うつうつ、ネガティブな考えをもちやすくなる。そして、よく眠れなくなり、高血圧になりやすい。 ≫≫「気」をのびやかに巡らせるために 「気を巡らせるには冷やさないこと。冷えは血管を収縮させます。お風呂などでからだをあたため、リラックスを。深い呼吸と深い睡眠はなにより大事。 好きな香りのアロマエッセンスでリラックスされた方は10分ほどで20くらい血圧が下がった例もあります。お気に入りの香りは自然に呼吸が深くなりますね。 血圧は変動しやすいものです。白衣高血圧という言葉もあるように、病院などドクターの前で測ると緊張して上がることはよくあります。あまり一喜一憂しないで何度か測ってみて下さいね」
高血圧を改善する漢方薬
「漢方薬もおすすめです(体質に合わせて選びます)」 《高血圧で、疲れやすく、冷え症タイプの方におすすめの漢方》 「私の場合は、下の血圧が90くらいになったことから、上だけでなく下の血圧を下げる効果のある釣藤散(ちょうとうさん)を選びました」 ●釣藤散(ちょうとうさん) 「こちらは首の後ろが凝る、朝起きた時、頭痛がある方にもよいです。お飲みになった方がリラックスできて、よく眠れた、肩こりが楽になったと喜んでらっしゃいました。体力はあまりなく、冷え症タイプによいです」 ●加味逍遥散(かみしょうようさん) 体質的には疲れやすい方。更年期障害のホットフラッシュがあり、のぼせやすい、でも、下半身は冷える方に。 ●八味地黄丸(はちみじおうがん) 疲れやすい方で夜間尿がある方。腰や下肢が痛み、冷え、むくみがある方に。 《高血圧で、比較的体力がある方におすすめの漢方》 ●大柴胡湯(だいさいことう) 体力あり、特に肩こりがひどく便秘しやすい方。 ●黄連解毒湯(おうれんげどくとう) 熱をとる処方。どちらかというと高血圧に即効性がある。上半身の火照り感、イライラ、不眠などにも効果的。 ●柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) 気の流れを整えて、安定させて、ゆるめて血圧を下げる効果。気にしやすい、気を使いすぎる方にも。 などなど。 「私自身、今はもう更年期をぬけてアフター更年期。血圧はというと、上は110~130くらいの間、下は70~80くらいですが、興奮したり緊張すると少しあがることも。そしてすごーくリラックスしていると、もっと下がることもあります。 漢方の大事なところは『自分を知ること』と『気づくこと』。高血圧とひと言でいっても、それは血圧だけの問題ではないから。丸ごとみていくのが、漢方。 気づいたら、そこからスタートですね!」 注:漢方薬については漢方専門の医師や漢方薬剤師、漢方アドバイザーなどにご相談・カウンセリングの上お飲みください。 【教えてくれたのは】 樫出恒代さん 漢方薬剤師・漢方ライフクリエーター。漢方カウンセリングルームKaon代表。Kaon漢方アカデミー代表。新潟薬科大学薬学部卒業後、一人ひとりのこころとからだにていねいに向き合う漢方カウンセリングを提唱。連載の味わいあるイラストは、本人によるもの。美容家吉川千明氏との共著に「内側からキレイを引き出す 美肌漢方塾」(小学館)