カワサキミニスポーツバイクの現在形、ミニストリートファイター「Z125 PRO」
ミニスポーツバイクの最新形Z125
小型バイクの主戦場であるタイではホンダが2013年にグロムを発売し、日本にも同年から導入されていた。KSR110の生産中止後、日本のミニスポーツバイクラインナップは枯渇しており、そこに投入されたグロムは大きな注目を集めることとなった。このグロムのヒットは、日本のミニスポーツバイク市場で孤軍奮闘を続けてきたカワサキにとって見過ごすことはできなかったはずだ。2016年カワサキはZ125を国内に導入、日本仕様はマニュアルクラッチのZ125 PROのみとされた。 Z1000系のデザインを受けついたストリートファイタースタイルはコンパクトな車体に精悍さを与え、ツインスパーフレーム風のカバーがスポーティさを際立てる。メーターはアナログ式のタコメーターとデジタル式のスピードメーターを組み合わせたコンパクトにまとめられており、コクピットは今時のスポーツバイク仕立てになっている。 Z125 PROに搭載されるエンジンは元々はミニモトクロッサーKX110に搭載されていたものがベースになっており、先にも触れた通り3mmのボアアップによって124ccまで排気量アップされている。フューエルインジェクション化することで排出ガス規制に対応し、最高出力はKSR110の6.3kW(8.6PS)から7.1kW(9.7PS)に、最大トルクも8.6N・mから9.6N・mへとアップしている。ミッションは4速のマニュアルで、スポーティなライディングが可能だ。ただ、装備の充実によって、車両重量はKSR PROの95kgから102kgへと増加している。車体はスチール製バックボーンフレームをベースに、フロントには倒立フロントフォーク、リアにはオフセットレイダウンシングルショックを組み合わせる。ホイールサイズは12インチで、前後のディスクブレーキにはペータルディスクが奢られている。Z125 PROになってKSR110と最も大きく変わった点は、それまで1人であった乗車定員が2人になり、タンデムライドが可能になったことだ。シートは後ろ方向に延長されたデザインになっており、折りたたみ式のしっかりとしたタンデムステップが装備されている。 ライバルのグロムが既に3回のモデルチェンジを行なっているのに対して、登場から大きなモデルチェンジが行なわれていないZ125 PROだが、それだけ完成度が高いということができるのかもしれない。Z125 PROはビギナーからベテランまで楽しめるバイクの魅力が詰まったモデルであり、今後はパワーを4.0kW以下に抑えた原付免許仕様の登場にも期待したいところだ。
Z125 PRO主要諸元(2021)
・全長×全幅×全高:1700×750×1005mm ・ホイールベース:1175mm ・シート高:780mm ・車重重量:102kg ・エジンン:空冷単気筒OHC 2バルプ 124cc ・最高出力:7.1kW(9.7PS)/8000rpm ・最大トルク:9.6N・m/6000rpm ・燃料タンク容量:7.4L ・変速機:4段リターン ・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク ・タイヤ:F=100/90-12、R=120/70-12 ・価格:35万2000円(税込)
後藤秀之