「艦隊これくしょん」ブレークの背景 ソーシャルゲームの新しい可能性とは?
新たなソーシャルゲーム・ビジネスの可能性
しかし、ここまで課金要素が少ないと、ビジネスとしてのメリットが生まれません。どこで利益を上げるかといえば、アニメや漫画、各種グッズ販売へと発展させるメディアミックスです。 すでに「艦これ」では「ファミ通コミッククリア」上でウェブコミックを隔週配信しているほか、公式アナウンスとして8月13日からのキャラクターグッズ販売、9月には角川マガジンズから公式本のリリースを予定。さらに小説やコミック化、各種グッズの企画も進行しているようです。 これまでソーシャルゲームのメディアミックスといえば、既存の漫画やアニメをゲーム化する方向が一般的でした。しかし「艦これ」では、かつての成功例「ポケットモンスター(ポケモン)」のように、ゲームから新たなムーブメントの創出を目指しているわけです。今年3月には「GREE」で提供中の「探検ドリランド」を核としたメディアミックス展開が発表されましたが、ソーシャルゲームでも今後こうした動きが増えていく可能性があります。 これまでのソーシャルゲーム業界は、とにかくリリース数を増やし、人気が出たタイトル以外は切り捨てていくような仕組みが多く見られました。ふるいにかける基準のひとつは売上ですから、各担当者はどうしても課金ありきのゲームを作らざるを得なくなります。ガチャなどでレア・限定キャラクターを出して射幸心をあおったり、ユーザー同士の対決で競争心に火をつけたりするといった具合です。 「艦これ」の台頭を見る限り、今後はソーシャルゲームの在り方も変わっていくように思えます。ガチャや対決で“課金を強いる”形態から、プレイヤー側が“自然に課金したくなる”形態へ。これは人気かつ息の長いタイトルの登場や、メディアミックスによる一大ムーブメントを起こすきっかけにもつながるといえるでしょう。