「艦隊これくしょん」ブレークの背景 ソーシャルゲームの新しい可能性とは?
ウェブブラウザで楽しめるソーシャルゲーム「艦隊これくしょん ~艦これ~」が、約3ヶ月で登録者数が30万人を突破しました。サーバの増強が追いつかず、現在は一時的に新規登録を見合わせているほどの人気です。これまでのようにベンダー側のプロモーション能力によってヒットへ導くという形態とは違い、ユーザー側からの口コミによって徐々に人気を高めてきています。ブレークの背景を見てみると、ソーシャルゲーム・ビジネスの新しい可能性が開けてきます。
萌えと歴史的背景の絶妙なバランス
今年4月23日に角川ゲームスとDMM.comがサービスを開始しました。第二次世界大戦で活躍した軍艦で艦隊戦を行うシミュレーションゲームです。軍事マニア向けの硬い内容を想像しますが、「艦これ」の場合は少々違います。 プレイヤーは「提督」となり、100隻以上におよぶ日本海軍の軍艦を擬人化し、なんともかわいらしい美少女艦船として描かれた「艦娘(かんむす)」のカードを収集・育成。艦隊を編成して敵を撃破していくというものです。ミリタリー要素と萌え絵を組み合わせたゲームは以前からありましたが、「艦これ」は単純に“萌え”要素に頼るのではなく、歴史的背景を考慮したキャラクター設定、絶妙なゲームバランスなどもポイントとなっています。
特筆すべき運営の堅実さ
「艦これ」が従来のソーシャルゲームと大きく異なる点は、“ほとんど課金要素がない”ことです。艦これは通常プレイ無料に加えて、これまでのソーシャルゲームで課金の軸となっていたガチャ自体が存在しません。プレイヤーはコツコツと貯めた資源で新たな軍艦を建造するか、敵の撃破でドロップされる軍艦を狙うのです。 数少ない課金要素といえば、入渠ドック・工廠ドックを増やす「ドック開放キー」、艦娘保有数を増やす「母港拡張」、提督執務室に特注家具が置けるようになる「特注家具職人」くらい。一部消費アイテムも存在しますが、これらがなくても圧倒的不利な状況に追い込まれることはありません。つまり、まったりと進めたい人は無課金でプレイし、少しでも早く艦娘を収集・育成したい、よりコレクションを増やしたい人は課金するなど、プレイスタイルが選べるわけです。それでいてゲーム内容が濃く、声優によるキャラクターボイスまで採用する豪華仕様。プレイヤーからは「課金要素が少なすぎて存続が心配」「ここまで課金したくなるソーシャルゲームも初めて」といった意見も上がるほどです。 もうひとつ、「艦これ」で特筆すべき点が“運営側の堅実さ”です。「艦これ」では、公式掲示板やTwitter上で障害アナウンスなどを行っていますが、この対応が実に迅速かつ丁寧。たとえば8月4日に一部サーバがダウンした際、公式Twitterアカウント「@KanColle_STAFF」でツイートした「現在大変多くの同時アクセスを頂いています。イベント開催期間は延長いたしますので、サーバ混雑中の高難易度海域への突入や、課金等はなるべく避けることも、大変恐縮です、ご検討頂けますと幸いです。」(原文抜粋)という内容からも、プレイヤー目線に立った誠意ある対応が感じられます。