「衣替え」はつぎはぎ服 石破政権は着こなせるか 書く書く鹿じか
ようやく衣替えをした。今年は季節の歩みが遅い。10月の半ばを過ぎても夏日が続き、なかなか半袖をしまえなかった。 【自民党内の衆院勢力図】衆院選で変化…最大勢力は麻生派に、旧安倍派は第5勢力へ後退 秋冬物のコートやジャケットを出したのだが、どうも着心地がしっくりこない。鏡に映すと、以前と比べて肩や尻の肉が落ち、腹回りがぷっくりしてきた。<更衣(ころもがえ)齢(よわい)隠せぬ体型に>という俳句そのままで、老化を痛感しながら、サイズが合わなくなったり、流行遅れのものをリサイクルショップに持って行った。 自民党もあちこちぜい肉がついていた。フリーアナウンサーの梶原しげるさんが著書で、政治家の失言を自覚症状のない「ことばの生活習慣病」と表現したが、暴言、失言が問題となった大臣や議員が相次いだのも、党の体質が理由だろう。「1強」の圧倒的多数に安住して、飽食や運動不足でメタボな体になっていたのだ。 しかし、衆院選で議席を大幅に減らして、いっぺんにやせ細ってしまった。衣替えには洋服を仕立て直す必要がある。虫食いで穴も開いている。派閥のパーティー収入不記載で非公認とされながら当選した議員らが自民党会派入りしたが、それでも過半数にはまだ足りない。 石破茂首相は大敗の責任を取らず、政権にしがみつこうと、衆院選で躍進した国民民主党に秋波を送る。憲法改正や安全保障、原発・エネルギー政策などで違いは少ない。自公に国民民主が加わった連立政権なら、数の問題は解消する。 だが、色よい返事がもらえなかった。国民民主は来夏の参院選でさらなる党勢拡大を目指しており、選挙で批判した石破政権と手を組むのは支持者を裏切ることになるからだ。 となると、個別の政策ごとに協力して法案を成立させるパーシャル(部分)連合を模索するしかない。案件によって相手方の要求に譲歩を余儀なくされるが、背に腹は代えられない。色や柄の異なる布をつなぎ合わせたパッチワークのファッションを、石破首相は着こなせるだろうか。 少数与党だから、野党が共同で内閣不信任案を提出すれば、可決される公算が大きい。選挙をやったばかりで、総辞職するしかない。当面、緊張の国会運営が続く。センセイ方も居眠りなどしていられませんぞ。