バンクシーの新作品は「ゴムボート」。英音楽フェスで観客の頭上をクラウドサーフ
イギリスの野外音楽フェス「グラストンベリー・フェスティバル」に、ストリートアーティストのバンクシーの新作品が登場した。 【動画】アイドルズの「Danny Nedelko」パフォーマンス中に、観客の頭上をクラウドサーフで移動するバンクシーの作品 バンクシーが新たに手がけたのは、ライフジャケットを着用した人形が乗っているゴムボートだ。 このボートは6月28日にアザーステージで行われた英ロックバンド「アイドルズ」のパフォーマンス中に登場し、同バンドが「Danny Nedelko」を演奏する中、クラウドサーフで観客の頭上を移動した。 ガーディアンによると、アイドルズの代理人が29日、ボートはバンクシーが制作したものだと発表した。バンクシーも自身のインスタグラムに動画を投稿している。 アイドルズのメンバーはボートがバンクシーの作品であることを知らされておらず、観客もパフォーマンスの一部だと思っていたという。 「Danny Nedelko」は、ウクライナ移民のダニー・ネデルコについて歌った曲で、移民を排除する政策やナショナリズムを激しく批判している。 曲の歌詞には「俺の兄弟は移民。美しい移民」「恐怖はパニックにつながり、パニックは痛みにつながる。痛みは怒りにつながり、怒りは憎しみにつながる」「親友はよそ者。親友は市民だ」とつづられている。 イギリスのスナク政権は移民対策を厳格化させており、2024年には難民認定を申請するためにフランスから小型のボートで海を渡って来た人たちを、ルワンダに強制的に移送する法案が可決された。 バンクシーの新作は、英仏海峡を渡ってイギリスを目指す移民のボートを表現しているものと思われる。
バンクシーとグラストンベリー・フェスティバル
バンクシーが、グラストンベリー・フェスティバルに作品を登場させたのはこれが初めてではない。 2019年には、ラッパーのストームジーが着用した、イギリス国旗をあしらった防刃ベストをデザインした。 また2014年には、悲鳴のような鳴き声を上げるぬいぐるみたちを詰め込んだ家畜運搬トラックの作品「羊たちのサイレン」(映画「羊たちの沈黙(サイレンス)」をもじった名前だと思われる)を、フェスの食事時間に会場に走らせた。 BBCによると、2024年のグラストンベリー・フェスティバルでは「移民」がテーマの一つになっており、新エリア「ターミナル1」では、参加者は、イギリスに移民を希望する人たちが受ける「市民権テスト」に答えなければいけない仕組みになっている。