「歌会始」の選者が授業 大辻さん、母校の漕代小で 三重・松阪
「風」と「光」の言葉入れ歌詠む 来月10日の140周年講演前に子供向け
三重県松阪市目田町の市立漕代小学校(橋本恵美子校長、55人)の5、6年生21人が24、25の両日、同校卒業生で歌人の大辻隆弘さん(64)=稲木町=を招いて短歌に親しんだ。 大辻さんは今年1月に皇居で開かれた「歌会始の儀」で初めて選者を務め、現在は県立津東高校で再任用教員として教壇に立ち、未来短歌会理事長と同会が発行する「未來」の編集発行人を務めている。 同校は創立140周年の記念講演会を11月10日に予定しており、その講師を大辻さんに依頼。その関係で子供たちにも短歌に親しんでもらおうと特別授業が実施された。 大辻さんによると、短歌は飛鳥時代に成立したとされ「五・七・五/七・七」の上の句と下の句の31音で構成される。俳句は、短歌の上の句が独立してできたもので、短歌と違い季語を取り入れる。小学校では国語の授業で5年生が俳句、6年生が短歌を学ぶ。 特別授業では、大辻さんが記念講演の題名に掲げる「漕代の風と光」から、5年生13人が「風」、6年生8人が「光」の言葉を入れて歌を詠んだ。 25日午前10時40分からの6年生の授業では、まず大辻さんが短歌の歴史やルールを教え、子供たちは早速、歌作りに取り組んだ。指で一音ずつ数えて考え込む子供たちに、大辻さんは「教科書を見て、目に入った言葉を使ってみて。声に出してみてもいいよ」とアドバイス。子供たちは外を眺めたり教科書を見たり、タブレット端末で画像や言葉を検索して創作に打ち込んだ。 その後、完成した短歌を皆で声に出して読み上げ、その歌から感じる印象や意味を話し合った。修学旅行で訪れた京都や、学校の窓からの見慣れた風景を詠んだ歌の他、「目を覚ましふと窓見ると日光がああもう朝かまだ寝ていたい」といった作品も。大辻さんは「『ああもう朝か』と正直な心が表れている。短歌は自分の心を正直に歌うことが、いい歌につながります」と話した。 田中柚羽さんは「5年生の時は俳句が難しかった。でも今日は考えるのが楽しくて3首できました」、5首ひらめいたという中西月音さんは「俳句は慣れているけれど、短歌は最後の七・七があって難しかった。短歌のプロの先生に教えてもらって、すごく楽しかったです」とそれぞれ笑顔で話した。 ※大辻さんの「辻」の字は正しくは1点しんにょう