【ナローポルシェの魅力】親子三代エンジニアリングに賭けたポルシェ家の遺産
名機フラット6はF1マシン「ポルシェ804」に搭載された1.5L水平対向8気筒エンジンが起源だ!
紙媒体が主流の時代から多くのトピックが語られてきた名車ポルシェ911。今回の特集は空冷911のヒストリーのなかでも前半にあたる通称“ナローポルシェ”にクローズアップ。 この記事の他の画像を見る 時代背景は国の威信をかけたナショナルレース、第二次世界大戦、モータリゼーションの飛躍、排気ガス規制や安全対策など環境問題をも含みます。 なるべく濃縮してその魅力に迫りたいのですが、まずは時系列を整理するための基本的なデータを脳内再生してみます。 【ポルシェファミリー】 1.フェルディナンド・ポルシェ(1875年9月3日-1951年1月30日) 2.フェリー・ポルシェ (1909年9月19日-1998年3月27日) 3.プッツィ・ポルシェ(1935年12月11日-2012年4月5日) 【歴代市販モデル】 1.フォルクスワーゲン Type1(1938年-2003年) 2.ポルシェ 356(1948年-1965年) 3.ポルシェ 911 Type901(1964年-1973年)
誤解を恐れずにマサカリで木をパッカーンと割るようにとらえると、ポルシェ博士がモータースポーツ黎明期からアウトウニオン時代の競技車両、市販車はVWビートル(いずれも設計事務所としての仕事)、息子さんのフェリーが356、お孫さんのプッツィが中心となってタイプ901型ポルシェ911を世に送り出したことになります(レースカーはまた別の機会に)。 この先は便宜上ポルシェ911としますが、911誕生に至る経緯は1959年の「695プロジェクト」までさかのぼります。企業としてのポルシェも永遠に356を作り続けることはできません。そこで4名乗車のGTを模索したり、ピニンファリーナなど外部デザイナーのアイディアも広く検討。 しかし、1962年にフェリーさんは決断します。「356で独自マーケットを開拓したからこそ今のポルシェがある。自動車メーカーとして後発の我々が後追いで他社のマネをしてどうするんだ!」と。要約するとこんな感じ。時にフェリー・ポルシェが53歳の代、プッツィ・ポルシェが27歳の代の頃の出来事です。