なぜ日本スパイクメーカー「YASUDA」は中国市場へ進出したのか 「人と人をつなげる」願い【コラム】
2021年に中国YASUDAがスタートし、販売やプロモーションに尽力
日本のサッカーファンのみなさま、こんにちは。久保田嶺です。今、中国サッカー界で奮闘する日本メーカーがあります。「YASUDA」。2本の「く」の字マークが印象的な日本サッカー界では広く知られる国産スパイクメーカーで、かくいう私も学生時代にYASUDAスパイクを履いていたことがあります。 【動画】中国人サポーターが日本人サポーターに向けて「バカ(Baka)」コールで煽り続けた決定的瞬間 YASUDAは2002年に1度破産してしまうものの、2018年にクラウドファンディングを成功させて復活。その後、2021年のコロナ禍にYASUDA初の世界展開として中国へ進出しました。最近ではチームや選手へのスポンサー契約を加速させています。なぜあのYASUDAが中国市場へ進出したのか、今後の戦略など、中国YASUDAへ取材しました。 ◇ ◇ ◇ 「コロナ禍で日本で全く活動ができない、そんななかで生まれたご縁から中国YASUDAは始まりました」 こう話してくれたのは、中国YASUDAの代表である飯高直人氏です。飯高氏はプライムコンサルティング(中国)エンタープライズ有限公司(以下プライム社)の社長で、このプライム社とYASUDAが中国販売代理店契約を結んでいます。プライム社は中国蘇州を拠点とし、人材コンサルティングを主軸とした事業を展開。その中の1つで日系企業の中国進出をサポートしています。 「初めのきっかけはコロナ禍でした。私には息子がおり、ある日本のサッカークラブに通っているのですが、そのチームのコーチにYASUDAで勤めている人がいました。当時は2021年で、YASUDAは復活したもののコロナの影響により日本国内で思うような活動ができない日々でした。逆に、中国はゼロコロナ政策が上手く行っている時で、商業活動なども通常通りできました。それで中国展開はどうだろうか、と話が進んでいきました」
その後2021年11月正式に契約が結ばれ、中国YASUDAがスタート。飯高氏と元々つながりがあり、同じく蘇州を拠点とする蘇州康力サッカークラブの代表である浅野伸太郎氏も参画し、販売やプロモーションを進めてきました。 「私たちの目標は『強い中国人選手はなぜかYASUDAを履いている』という状況にすること、そのためにできることをしてきました。開始当初は逆に中国でロックダウンが始まってしまい活動ができず、元々浅野さんのネットワークがあった成都のサッカークラブへ営業を行ったり、日本人のサッカー大会へのスポンサーなどをしていました。より活動を活発化させたのは去年からになります」