定年退職時、「3000万円」も貯めている人が多い!?「必要最低限」の暮らしを行うためにはいくら必要?
老後2000万円問題が話題に上がったことを、覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。老後2000万円問題は、金融庁金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」において、「老後の20~30年間で約2000万円の資金が不足する」という試算結果が公表されたことに由来しています。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算 定年退職をした後に、実際にどれくらいの貯蓄があれば生活に困らないのか、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回の記事では、定年退職時の平均貯蓄額と、老後の生活に必要な金額について解説します。
定年退職時の平均貯蓄額は?
厚生労働省の「令和4年就労条件総合調査」によれば、一律に定年制を定めている企業が96.9%と、高い割合になっていることが分かりました。 また、定年退職時の平均貯蓄額は、PGF生命の「2023年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」によれば、3454万円でした。しかし、その一方で約4割の方が「300万円未満」と答えたという結果もあり、貯蓄の格差が見られます。 また前年の2022年に比べると、平均貯蓄額は332万円増加していることも、この調査で分かっています。値上げラッシュや不安定な社会情勢を受けて、今後も安定した暮らしをするために、貯蓄をより殖やしておきたいと考える方が多いのかもしれません。
65歳以上(単身無職世帯・夫婦のみの無職世帯)の毎月の支出額はいくら?
定年退職をすると、その後は年金と貯蓄を使って生活をしていく方も多いでしょう。必要最低限の暮らしを行うためにはいくら必要なのか、総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」に基づいて解説します。 上記の報告によれば、65歳以上の単身無職世帯、夫婦のみの無職世帯の支出額は表1の通りです。なお消費支出は、日常の生活を営むうえで、商品やサービスを購入した際の金額を指します。非消費支出は、税金や社会保険料などの毎月ほぼ発生する支出のことです。 表1
※総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」を基に筆者作成 以上について、65歳以上の単身無職世帯、夫婦のみの無職世帯の毎月の生活費と比較します。65歳以上の単身無職世帯の場合、年金などの「社会保障給付」を含めた実収入は13万4915円ということが分かっており、これらが実際の生活費となります。 さらに65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、年金などの「社会保障給付」を含めた実収入は24万6237円とされており、これらが実際の生活費です。 上記の2パターンの実収入と表1を比較すると、どちらも合計支出が実収入を2万円ほど上回っており、赤字になることが分かります。そのため、毎月の赤字分を、貯蓄から切り崩して補う必要があり、貯蓄に余裕を持つことが大切であるといえるでしょう。