原油価格、3日ぶり小反落-中東緊張でも米国で在庫増加
(ブルームバーグ): 原油相場が18日の取引で3日ぶり下落。中東でいっそうの緊張悪化が懸念されているものの、米国の在庫増加の兆候が相殺した。
指標となる北海ブレント原油は1バレル=73ドルを下回り、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は70ドル近辺で取引された。米国石油協会(API)の報告書によると、原油在庫は先週約200万バレル増加し、ガソリン、留出油の在庫も拡大した。データに詳しい関係者が明かした。
中国の厳しい需要見通しと、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」が最終的に生産を回復させる方針であることから、原油価格は年初から大幅に下落してきた。一方でリビアと米国における供給の混乱や、米連邦準備制度の利下げ開始が見込まれるなど金融緩和が進むとの見通しもあり、原油価格の下落には一部ブレーキがかかっている。
A/Sグローバル・リスク・マネジメントのアナリストは「利下げを正当化するのが成長率の低下か、それともインフレ率の低下なのかが極めて重要だ。後者であれば、市場にとっては明るい材料だろう」と指摘した。
レバノンでは17日、ポケットベル型の通信機器が各地で爆発し、多数の死者と数千人の負傷者が発生した。親イラン民兵組織ヒズボラは、イスラエルが攻撃を計画したと非難している。中東で全面戦争が勃発するとの懸念が高まり、同日の原油価格は上昇した。
原油相場への強気の見方を裏付けるように、先物は期近が高く期先が安い逆ざやが続き、当面の供給不足が示唆されている。
ただ、需要面では消費低迷を受けて、欧州の一部製油所が稼働率を落としている。世界最大の石油輸入国である中国では、利幅の悪化で小規模な製油会社2社が倒産した。
原題:Oil Falls With Signs of Higher Supply Countering Mideast Tension(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Yongchang Chin, Alex Longley