「コルチゾール値」が高くなると体重が増える理由を専門家が解説
コルチゾールが体重に影響を与える仕組み
スプレンサー博士によると、平時あるいは正常な状態でコルチゾールが食欲に影響することはない。「でも、寝不足や心配しすぎでストレスを感じると、コルチゾールの産生量が増加して、過剰な空腹感をもたらします」。コルチゾール値が高い状態が長く続くと、体重増加、インスリン抵抗性、2型糖尿病、高血圧のリスクが高まる。 アントン博士いわくコルチゾールで体重が増える理由は複数あって、その1つはコルチゾールが代謝に関係しているから。「コルチゾール値が長期にわたって高くなると、高カロリーの食品に対する食欲が増し、おなか周りに余分な脂肪が蓄積します」。また、コルチゾールがインスリンを効率よく使う体の能力を抑制するので、インスリン抵抗や体重増加につながる可能性もある。 ストレス下の体としては、来るべき病気やケガに備えて、カロリーと脂肪をできるだけ溜め込んでおきたいところ。そのため「ストレス下で大量のコルチゾールが分泌されると食欲が増進し、体内で作られるグルコースの量が多くなります」とウェアリング博士。「グルコース値が上昇すると、体はインスリンの分泌量を増やさなければならなくなるので、結果的に余分なグルコースが脂肪として貯蓄されます」。コルチゾール値が高くなると、おなか周りに脂肪が付いて体重が増えるのはこれが理由。
コルチゾールによる体重増加を防ぐには?
コルチゾールは体重増加の一因とはいえ、パズルの1ピースに過ぎない。「体重管理は、遺伝、代謝、生活習慣、環境といった多数の要素に影響される多面的なプロセスです」とアントン博士。でも、バランスの取れた生活を送りながらストレスとコルチゾールに対処すれば、体重を管理して、全体的な健康状態を改善するのも不可能なことじゃない。 ただし、副腎による過剰なコルチゾール産生が原因でコルチゾール値が上昇している場合は、医師の診断と治療を受けないと体重増加を防げない。「ほとんどの人は仕事や寝不足でコルチゾール値が少しだけ上昇します」とスプレンサー博士。「でも、その状態が長期化すると、体重が増えたり体重が減らなくなったりします」。その場合は、それが恐らく自分のライフスタイル、食生活、睡眠習慣の現れで、全体的な健康状態がよくないことを認識する必要がある。 生活習慣を改善するのに遅すぎるということは絶対ない。スプレンサー博士は1日に少なくとも7~8時間の睡眠を取り、ヘルシーな(地中海式やプラントベースの)食生活を送り、週に5日は30分の運動をするよう勧めている。 ※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。