「死んでも誰かと一緒なら…」小松菜奈と松田龍平が『わたくしどもは。』で感じた“死生観”
島の独特な空気感が、物語の不思議な世界と融合
――本作は佐渡金山がロケ地。旧相川拘置支所や新穂大野の古寺など、印象深い場所で撮影されています。 小松 金山には、江戸時代に流されて過酷な労働をさせられたという悲しい歴史もあります。行く前はわからなかったけれど、実際にその場に行くと、映画に描かれているような魂や見えないものの存在があっても不思議じゃないと思わせるところがありました。島の独特な空気感が、物語の不思議な世界と融合していたように思います。 松田 佐渡は今回初めて行きました。山と海が近くにあって気持ちがいいんですけど、当時金山として栄えた名残が島全体にノスタルジックな雰囲気を感じさせて。そのバランスが絶妙で。あと坑道は独特の空気があったよね? 小松 ありました。外は蒸し暑いのに、坑道に入るとすごくひんやりしていて。 松田 夜道を歩いててゾクゾクする感じと妙な安心感があって。映画の中の雰囲気と近いものを感じました。 ――本作を経て、死生観のようなものは変わりましたか? 小松 死んでも誰かと一緒にいられるのならある意味、幸せなのかもしれないと思いました。なぜ、お化けを怖いものと捉えるようになってしまったのかなと改めて考えてしまいました。誰でもいずれは亡くなりますし、生きた人の延長と考えるとそんなに遠い存在ではないですよね? 見えないから怖いと感じてしまうのかな。 松田 良い霊もいるかもしれないし。 小松 そうですよね。 松田 まあ、逆に恐ろしい霊もいるかもしれないからね……。色んな霊がいると思うと、そこは生きていても一緒だけど。 小松 確かに。お化けも、生きているうちに伝えたかったことが伝えられなくてそこに留まっているだけなのかもしれないと思い始めたら、ホラー映画が全然怖くなくなってしまいました(笑)。 松田 (笑)。『わたくしどもは。』のような世界があると思ったら、死ぬこともそこまで怖くないような気持ちになります。