クラシックカーをめぐる投資詐欺の構図

　クラシックカーの仕入れとレストア（復元）に対する投資を呼びかけて約1億4千万円をだまし取ったとして、兵庫県警は1日、自動車修理仲介業の室崎泰夫容疑者（42）=東京都渋谷区広尾2丁目=を詐欺の疑いで再逮捕し、発表した。「弁護士と相談してから話します」と認否を保留しているという。 【写真】室崎容疑者が保管していたクラシックカー。レストアビジネスの信頼を得るため、投資者へこうした車の写真が送られていた=関係者提供 　捜査関係者によると、室崎容疑者はこうした投資を募って約56億円を集めたが、30億円以上が償還されない恐れがある。多くは運用の実態がなかったと県警はみている。 　県警によると、再逮捕容疑は2023年4～5月、東京都の税理士の男性（46）に、クラシックカーの仕入れとレストア費用に投資をすれば8カ月後に6.7%の上乗せをして還元するとうそをいい、2回に分けて計1億4400万円をだまし取ったというもの。 　9月にも別の男性から計3億9950万円を詐取したとして逮捕されていた。 　登記簿によると、室崎容疑者は12年に神戸市内で自動車関連会社を設立。「超高級車の修理や車検などを手がけ、最初は順調だった」。室崎容疑者を知る人物は話す。 　だが捜査関係者によると、金融機関からの借り入れが19年9月ごろには10億円ほどに膨らみ、返済や新たな資金調達が難しくなっていたという。 　その後、20年ごろから投資を募り始めたとみられるという。 　クラシックカーは一般的に1980年代以前につくられた車を指すとされ、生産が終了したフェラーリやポルシェといった希少な高級車の人気が高い。室崎容疑者はレストアしたクラシックカーの転売益の一部を還元すると、表向きには説明していた。 　だが実際には多くのケースで車は実在せず、集めた資金を他の投資者に補塡（ほてん）する、自転車操業だったと県警はみている。会社は23年に破産した。（宮坂奈津、小田健司）