部活不要論も? “全中大会”9競技取りやめへ… 対象の日本ハンドボール協会事務局長「競技人口が少ないからこそ全国大会をすべき」
日本ハンドボール協会の清水茂樹事務局長は、全中大会の縮小を「残念」と感じているが、「競技から外されることは残念だが、中学教師に負担がかかっていることも重々わかっている。改善しなければとの問題意識は持っていた。学校から地域への移行など、スポーツ庁の方針を見ると、いずれこうなるだろうと予想していた」と理解を示す。 清水氏によると、ハンドボールは「学校が主戦場」。競技人口9万人のうち、半分が中高生であり、中学が中核を担っている。その一方で、競技に触れる人は多いものの、部活動の設置率は7%にすぎない現状もある。
学校で普及している背景には、文科省が定めた学習指導要領があるという。「『ゴール型』『ネット型』『ベースボール型』の競技をやるよう指導していて、そのうちの『ゴール型』にハンドボールは含まれる。投げる、飛ぶ、走るの3要素があるため推奨されていた時代があり、教えられる先生も多かった。やりやすい環境が学校にあり、それに甘えていた部分はある」。 取りやめが示された中、「競技人口が少ない競技こそ全国大会をするべき」との考えだ。今回、全中からの除外が決まったのは、部活動の設置率20%未満の競技。「水泳や体操、新体操はできる環境があるが、ハンドボールは日本ではマイナーだ。ハンドボールは学校にインフラがあり、大きな資金投入が必要な競技でもない。切磋琢磨する夢の舞台が、突然なくなるのはショックなことだ。全中に代わる舞台を用意したい」とした。
■子ども×スポーツ機会、どう確保?
内田氏は「トップアスリートを目指す競技型のスポーツと、入口として楽しむ教育型のスポーツを分けて考えなくてはいけない」と指摘する。「ピラミッドの頂点に『全国大会のチャンピオン』がいて、皆がそこに巻き込まれていく。教員の長時間労働で部活動が回らない時代には、すみ分けが重要だ」。 そこには大学教員としての実感もあるそうで、「高校でみんな部活動を辞めて、大学になると部活どころか、サークルにも入らないことが多い。20代、30代になっても、高齢者と一緒でも活動できる生涯スポーツが普及すれば、競技人口の増加も考えられる。あらゆる立場の人が楽しめる活動を模索して、『部活動のあり方』を根本から考え直すべきだ」との見方を示す。 清水氏は「世界標準を目指して、競技力を上げることは絶対に必要。ただ、それだけだと競技の発展はない」と持論を語る。「競技人口のほとんどは、全国大会に関係ない。『なぜ、その人たちもやっているのか』を深掘りしなければならない。1回戦でも保護者は、おそろいのTシャツや横断幕を持って、コートを囲んで夢中になる。オリンピックで金メダルを取ることだけでなく、競技を日本に根付かせるために活動している人のほうが多い」。