発症数十時間で死亡も 「劇症型溶連菌感染症」が前年の2倍に【長野】
県内でも流行している溶連菌の一種「A群溶血性連鎖球菌」。同じ細菌が原因で劇症化し、死に至るケースもある「劇症型溶連菌感染症」が全国で過去最多の患者数となっています。 主に子どもがかかりやすい「A群溶血性連鎖球菌」。県によりますと、6月9日までの1週間に報告された患者数は定点医療機関1カ所あたり4.06人で、先週より減少しているものの例年に比べ多い状況が続いています。 ■児玉医院・児玉央医師 「検査をするためのキットが一時的に不足したり、抗菌薬の流通が悪くなってしまうのが一番の危機感。思った通りの治療ができない。思った通りの検査ができないという状況がある。これはなかなか解消されていない。 (異例のことですか?) 「こういうことは過去にはあまりなかった」 新型コロナの5類移行後、感染対策への意識が薄れてきたことが要因と見られています。一般的には発熱やのどの痛みなどの症状にとどまる溶連菌。しかし30歳以上を中心にまれに「劇症型」の症状を引き起こします。「劇症型溶連菌感染症」は急激に症状が悪化し、発病から数十時間で死に至るケースも…。致死率は3割と高いことから「人食いバクテリア」と呼ばれています。 国立感染症研究所は11日、全国の患者数が今年1月から6月2日までに977人と、過去最多だった去年1年間の報告数を既に上回っていると発表しました。県内では今年に入り20件の報告があり、去年の同時期と比べ2倍の患者数となっています。 ■児玉医院・児玉央医師 「(劇症型は)ちょっとした傷があった場合に、そこが元で発症してしまう例もあるようだから、ちょっとした傷はきちんと流水で洗ったりして、傷からばい菌が入らないようにして」 劇症化するメカニズムは未だ解明されていないものの、手洗いやうがい、手指消毒といった基本的な対策が大切です。