家族で動画出演、ファミリーYouTuberが考える教育への影響 IT教育専門家は「子の進路選択」広がる可能性を指摘 #令和の子 #令和の親
家族で動画に出演し、子どもたちが活躍するチャンネルが増加しているYouTube。 【写真】運営者である父親「コンプライアンスには気を配っている」 動画に出演する“子供たち”の様子 「だーしま動画チャンネル」は、長男・かなとくん(11歳)、次男・しおんくん(9歳)、長女・あおいさん(6歳)、三男・みつきくん(4歳)が出演する寸劇や商品レビュー動画で人気を集める、ファミリー系動画クリエイターだ。 親子でもあり、ビジネスパートナーでもある彼らにプライベートと仕事の線引きはあるのか? 今回、同チャンネルの運営者であるご両親とかなとくんには、ファミリーチャンネルの活動の実態を、IT教育専門家の松下孝太郎氏には、幼少期から動画投稿を行う教育的な効果について、話を聞いた。 ・親子でYouTube活動を始めたきっかけ だーしま動画チャンネルが、親子でYouTube活動を始めたのは2015年。始めたきっかけとしては「YouTubeが流行りだしていた時期で、面白そうだからやってみようかなと思って自分が始めたんです。でもカメラの前に立つと、恥ずかしくてしゃべれなくて。そうしたら、かなとが『自分もやりたい』と入ってきたので、かなとが2歳のときに2人で始めました」とだーしまパパは語る。 基本的にはだーしまパパが、メインチャンネルを含め4チャンネルの動画の撮影から編集、企画まで担当。「子どもたちが見ているYouTubeを参考にして、自分たちの動画のスタイルと合わせて、できそうなものをやっています」とのこと。ただ、企画については「子どもから提案してくることもあります」と主体的に取り組んでくれているそうだ。 彼らのキラーコンテンツである寸劇動画では、子どもたちが自身の役割をしっかりと担っている。「大まかな設定だけは決めていて、セリフはその場で自分が考えています」と、だーしまパパは語る。子供たちは一人前の動画クリエイターとして、完成度の高いセリフと動きを披露している。 また、台本がなく、子どもたちが自由に動かなくてはいけない難易度の高い同企画。そのなかで、末っ子である4歳のみつきくんもきちんとリアクションや発言をする。これは弟や妹が言えないセリフがあったら言い方を教えてあげたり、「かなとが言うから大丈夫だよ!」とリーダーシップを発揮したりするなど、長男のかなとくんのフォローが大きいそうだ。 ・ファミリーYouTuberならではの苦労も だーしま動画チャンネルは、4人の子どもがメインで動画に出演している。そのため、大人以上に、世に出して大丈夫な動画かを精査することはもちろん、ファミリーチャンネルとしての見え方についても考えているそうだ。 「やはりコンプライアンスには気を配っています。視聴者の子どもたちが真似して危ないような企画はやらないようにしていますね。YouTubeでは大金を使う動画や1つのアイテムを大量に使う企画がありますが、ファミリーチャンネルで同じようなことはやらないようにしています」 気をつけなければならないことが多い親子でのYouTube活動だが、もちろん動画投稿をやっていて良かったことも。「ほかの方に比べ、映像に記録が残っている量が多いと思うんです。子どもたちを撮ったらハードディスクに保存して、そのまま何年も見ないということもあると思いますが、YouTubeに投稿することによって、昔の思い出をいつでも見られるのはいい点かなと思います」とだーしまパパが語る。これに呼応するように、だーしまママは家事・育児の観点でもメリットがあると話す。「自宅での仕事なので家事も育児も夫婦で協力できるのでとても助かっています」。かなとくん自身も「家に帰ってきたときに絶対にお母さんとお父さんがいるから、安心できる」とご満悦だった。 また、家族としての生活の延長線上に動画があるため、「撮影中も親子だし、普段ももちろん親子。線引きがないから、子どもらしい素の可愛いさが撮れるのかなと思います」と撮影とプライベートの線引きは特にないそうだ。 現在はだーしまパパが撮影と編集を担当しているそうだが、「本人がやりたいのであれば、やらせてみてもいいのかなと思っています」と長男の意欲を尊重したい旨を語る。かなとくん自身も「(企画や編集を)ちょっとやってみたいです」と前向きだ。 ・子どもがYouTubeで発信 将来の選択肢が広がるメリット IT教育専門家の松下孝太郎氏は、「昨今、IT関連の人材育成が重要視されており、子どもに関しては、2020年度から小学校においてプログラミング教育も必須化されました。このような状況を鑑み、子どもがYouTubeで情報発信をするメリットは、動画撮影および編集も含めたICTスキル(デジタルデバイスやデジタルツールといったテクノロジーを有効に活用するスキル)の向上が期待できることです」と、子どもがYouTubeで発信を行うメリットを語る。 また、「動画投稿に必須となる企画や撮影を通したコミュニケーション力の向上も併せて期待できます」とスキルの向上はもちろん、子どもの社会性を育める可能性も示唆した。 動画投稿は、家族仲が良好になったり、進路に対する視野が広がったりするなどメリットも大きい。事実、「YouTubeを含めたICTを利用することにより、将来の進路選択の可能性も広がっていくと考えられます」と松下氏も語る。令和に入り、新しいアプリや機能を使いこなす子どもたちはどのように成長するのか? 今後もYouTube活動を行う子どもたちの活躍に注目したい。 ■松下孝太郎 横浜国立大学大学院工学研究科人工環境システム学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。 現在、(学校法人 東京農業大学)東京情報大学総合情報学部 教授。 電子情報通信学会、 情報処理学会、日本画像学会、教育システム情報学会等各会員。 画像処理、コンピュータグラフィックス、教育工学等の研究に従事。教育面では、プログラミング教育、シニアへのICT教育、留学生へのICT教育等にも注力しており、サイエンスライターとしても執筆活動および講演活動を行っている。 ※この記事は、リアルサウンドとYahoo!ニュースによる共同連携企画です。
せきぐちゆみ