「渋野さんのお母さんから…」 木下彩は名産マスカットを“原動力”に記録的V
◇国内女子下部ステップアップツアー◇山陽新聞レディースカップ 最終日(15日)◇東児が丘マリンヒルズGC(岡山)◇6359yd(パー72) 【画像】プロテスト合格同期のメンバー(前列右から3番目が木下彩) あとひとつバーディを獲れば、マジックナンバー50台という状況で迎えた最終18番はパー5。もちろん、木下彩は「狙っていました」と振り返る。ただ、「手汗もかいていた」というティショットが滑って左へ。ラフに入ったボールのライが悪く、セーフティに刻んだはずのセカンドもアドレナリンが出ていたのか奥のバンカーに入った。 5mほどを外したパーでの締めくくりに「下手でしたよね」と豪快に笑ったが、1ラウンド12バーディの「60」、トータル196ストロークと並べた数字はいずれも下部ステップアップツアーのレコード。2019年「中国新聞ちゅーピーレディース」以来の下部2勝目を数々の記録で彩り、「優勝よりもスコアにびっくりしています」。また白い歯がこぼれた。 圧巻のプレーだったこの日のフェアウェイキープ率は42.85%(6/14)といまひとつ。一方でパーオン率94.44%とグリーンは1回しか外さなかった。「アイアンがすごく切れていて、アイアンとパターに助けられました。最高の状態が100%だとしたら、アイアンは90%、パッティングは80%、ドライバーは50%」。ニコニコ笑いながら勝因を自己分析していると、もうひとつ思い当たることがあった。 「渋野さんのお母さんから開幕前にマスカットをいただいた。本当に岡山のマスカットが大好きでおいしいので、原動力のひとつになりました」。同学年で仲のいい渋野日向子の地元岡山でのトーナメント開催。スタート時点で5人が首位に並ぶ混戦だったが、渋野の母・伸子さんの差し入れが7打差圧勝のパワーをくれたかもしれないと感謝する。 直近の8月「山陰ご縁むす美レディース」を含め、今季2試合あった最終日首位タイスタートはいずれも勝てていなかったが、三度目の正直で賞金ランキングもトップに浮上した。「QTに行かないことを目標に」。下部賞金女王に付与される来季レギュラーツアー前半戦の出場権に狙いを定め、次戦は5年前に初優勝した広島・芸南カントリークラブへ。「出られるだけでも十分です。どうなるか分からない。ゴルフは次の日になったら、変わってしまうので」と最後は少し表情を引き締めた。