ロシア軍がハリコフ州で越境攻撃 新たな戦線を開き「緩衝地帯」設ける狙いか
ロシア軍は11日までに、ウクライナ東部ハリコフ州の北方2カ所で国境を越え、攻勢を強めた。米CNN(電子版)などが伝えた。最近は東部ドネツク州を中心に激戦が続いていたが、新たな戦線が開かれた形。ウクライナのゼレンスキー大統領はハリコフ州の兵力を増強すると発表した。露軍は国境近くに「緩衝地帯」を設けようとしているとの見方が出ている。 CNNによると、露軍部隊が越境したのはハリコフ州の小都市ボフチャンスクと、その西方にある集落クラスネの各方面。ゼレンスキー氏は、ハリコフ州で露軍の攻勢が始まり、激戦が起きているとの認識を示した上で「占領者を必ず撃退する」と強調した。露国防省は11日、ハリコフ州の国境沿いにある5集落を制圧したと発表した。 今回の越境攻撃が、ウクライナ第2の都市ハリコフの制圧を狙った行動かは不明。ウクライナ軍事筋はボフチャンスク方面について、「露軍は(ウクライナ領に)約10キロ侵入して緩衝地帯を設けようとしている」とCNNなどに語った。 ウクライナの戦況分析メディアは、ハリコフ州内に侵入した露軍部隊は進軍を続けるには不十分な規模だと指摘。ただ、ロシアは国境地帯に推計4万人の追加部隊を配置しているとも伝えた。ウクライナ軍報道官は今回の越境攻撃について、東部戦線からウクライナの戦力を引き離す狙いだとの見方を示した。 露軍は2022年2月のウクライナ全面侵攻後、ハリコフ近郊まで迫ったが、ウクライナ軍が9月に州のほぼ全域を奪還。ウクライナ高官らは、露軍にはハリコフを制圧するだけの地上戦力がないと分析してきた。