ロンドン在住フリーアナ、秋元玲奈さんが出会った「服を生み出さないブランド」 サステナブルの一歩先を見つめる
冬の気配が漂い、肌寒さが増すロンドン。気温の変化もようやく落ち着いたので、暇な休日一気に衣替えをした。 【写真】“おしゃれママ”で話題! フリーアナウンサー秋元玲奈さん 来年はサイズアウトして着られないであろう子供達の夏服を、チャリティーショップにダンボール一箱分持って行った際、偶然目に入った長男用のスポーツウェア。フットボールクラブのアップリケを縫い付けたらおしゃれになりそう、とアイディアが浮かび、思わず購入した。 アップサイクルすることでファッションをまた新鮮に楽しめる、そんなことを教えてくれたのもロンドンでの生活である。 人々の間で物を大事に使い、受け継ぐという文化が浸透し、昔からサステナブルが生活の一部となっているイギリス。 サステナブルビジネスでも最先端を行くこの国のファッション業界で今、大きな変革が起こっている。
先日、ロンドンファッションウィーク期間に新しいブランドを立ち上げた世界的デザイナー、スチュアート・トレバー氏に話を聞く機会があった。トレバー氏は日本の百貨店などにも店舗を構える"ALL SAINTS"のデザイナー兼元CEOとして有名だ。彼が今回ローンチしたのは「服を生み出さないファッションブランド」だと言う。 ファッションブランドが"服を生み出さない"とは一体どういうことか。
できたばかりだという新作コレクションを見せてもらった。フードつきのジャケットやシャツなどシンプルな服が多いが、ヴィンテージの様な格好良さに加え、胸元に大きなエンブレムが付いていたり、前と後ろでデザインが違っていたり、個性的で目を惹く、華やかなものが印象的だ。 服を生み出さないと言うのなら、これらの服はどのようにして出来たのか? トレバー氏に聞くと、生み出したのではなく、服を"再構築した"のだと強調する。
「世の中には服が溢れている。新たな命を吹き込むためのヴィンテージの衣類が大量にある。何百万メートルもの『過剰生産』された生地が、埋め立て地に廃棄されている。私たちはこれらを『廃棄物』ではなく『活用在庫』に変えたいと考えた。」とトレバー氏。 この先、リサイクルコットンのTシャツやフーディなどの生産はするが、基本的にはヴィンテージやリサイクルされた服に刺繍を施したり、プリントしたり、絵を描いたりしてカスタマイズし、既に世の中に存在する服の供給を絶えず行う、と言う。トレバー氏が新たに作り上げたのは、自分達で服を生み出さないと言う究極のところまでサステナビリティを追求した最先端のファッションブランドであった。 ファッション業界におけるサステナビリティを加速させる動きは、国内の他のブランドにも広がりつつある。 今年イギリスで公開となった映画「ファッション・リイマジン」はイギリスのファッションディレクター、エイミー・パウニー氏がサステナブルに徹底的にこだわった新ブランドを立ち上げるまでを追ったドキュメンタリー。 トレバー氏と同じように、世の中で廃棄される服や生地の多さを嘆き、服を大量消費する社会へ提言を投げかけ、話題となった。 イギリスファッション業界におけるサステナブルに関する意識は新たなステージへと進みつつあるが、一方で課題もある。 果たして消費者側のマインドは変わってきているのだろうか?