「一挙両得」を狙ったスポーツサルーン BMW 5シリーズ ベスト・ハイブリッド賞 AUTOCARアワード2024
一挙両得を狙ったスポーツサルーン
先代のBMW 545eは、優れた電動化技術と内燃エンジン、シャシーの組み合わせで、一挙両得を狙ったようなモデルだった。プラグイン・ハイブリッドで、環境規制に対応。同時に、素晴らしい直6エンジンを積んだ優秀なスポーツサルーンでもあった。 【写真】ベスト・ドライバーズカー賞:ウラカン・ステラート ベスト・ハイブリッド賞:5シリーズ STOとM5も (121枚) その後、5シリーズは新世代へ進化。後継モデルとして、その強みを受け継いだ550eが加わった。電気だけで走れる距離が増え、パワフルになり、優れた快適性と動的能力を巧みにバランスさせている。 プラグイン・ハイブリッドのサルーンは各ブランドが擁し、6気筒エンジンを積んだモデルもある。それでも、環境性能とスポーツサルーンとしての能力を、5シリーズ並みに高次元で叶えた例は少ない。 最新のG60型は、バッテリーEVのi5と同時に開発され、取り組むべき課題は多かったはず。しかし、バイエルンのエンジンメーカーとして成長を続けてきたBMWだから、内燃エンジン版の5シリーズが秀逸に仕上がっても不思議ではないだろう。
捨てがたい重厚で贅沢な直列6気筒
550eに載る直列6気筒のE58型ユニットは汎用性が高く、イネオスのオフローダーや、モーガン・プラスシックスの動力源にもなっている。滑らに回り、サウンドも美しい。プラグイン・ハイブリッドになっても、有能ぶりが変わることはない。 また、アダプティブダンパーが標準装備になる550eは、乗り心地も素晴らしい。ゆったり大人なクルージングへ浸れる一方、その気になれば驚くほど機敏にカーブを巡れる。 4気筒を積む530eも、速さは充分。ノーズが軽いぶん、操縦性も良い。電気だけで走れる距離は競争力に長け、燃費も良い。こちらも強く推奨できるサルーンだが、550eの直6ユニットが醸し出す、重厚で贅沢なフィーリングは捨てがたいことも事実だ。 とはいえ、530eでも550eでも、プラグイン・ハイブリッド技術の熟成度は間違いない。これでステーションワゴンのツーリングが登場すれば、実用性が増し、魅力的なシルエットになり、究極のハイブリッド 5シリーズが完成するように思う。
リチャード・レーン(執筆) イリヤ・バプラート(執筆) 中嶋健治(翻訳)