パナソニック「LUMIX」カメラ製品サイトで“写真素材”使用し謝罪…カメラマン弁護士「衝撃的」 法的問題も指摘
「イメージです」表記あっても“優良誤認”と言えるか?
消費者庁は、公正取引委員会(平成15年10月28日)において、景品表示法の運用に下記のような指針を示している。 〈景品表示法による不当表示の規制は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者の適正な商品・サービスの選択を確保することを目的として行われるものであることから、「著しく優良であると示す」表示に当たるか否かは、表示の受け手である一般消費者に、「著しく優良」と認識されるか否かという観点から判断され、また「著しく」とは、当該表示の誇張の程度が、社会一般に許容される程度を超えて、一般消費者による商品・サービスの選択に影響を与える場合をいう。(不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針)〉 「こうした消費者庁の指針を前提として考えた場合、仮に『写真はイメージです』などの注意書きがあったとしても、写真によっては“著しく優良に表示した”と言える場合もあり得ると思います。 カメラという商品は写真や動画を撮ることがその目的ですから、どのような写真が撮れるかという点が消費者にとっては重要です。本来そのカメラで撮れる写真とは全く異なる写真(たとえば、精細さ、被写体の追従性能、色味などがそのカメラを使っても撮れないような写真)が同商品のサイト上で使用されていたとすれば、『イメージです』等と注意書きがあっても、消費者にとってみれば、イメージのような写真が撮れるのだろうと感じますから、著しく優良であると示されている状況と考えられると思います」(寺岡弁護士)
詐欺罪の成立が難しいワケ
ちなみに詐欺罪の成立が難しい理由は、「詐欺罪の成立には客観的な詐欺行為に当たる必要があるため」(寺岡弁護士)だという。 「どのような写真が撮れるかはカメラを選ぶ重要な要素にはなりますが、イメージ写真のみで購入を決める人はプロアマ問わずいないのではないでしょうか。 程度問題ですので、本当に“全く”イメージ写真とかけ離れた写真しか撮れない場合には欺罔(ぎもう)行為に当たる余地もある…とは思いますが、多少違う程度であれば、カメラの購入を決定する重要な事項に誤認があったとは認められにくいと思います」 また、仮に欺罔行為であったとしても、詐欺罪の成立には、企業側に詐欺の故意が必要であり、「内部資料や決裁書などに虚偽の画像であることを認識している旨の記載があれば別ですが、そうでなければ故意の立証は非常に難しいでしょう」(同前)