看護の新しいカタチを全国に広めたい 「潜在看護師」が柔軟に働ける職場づくりに奮闘 愛知
在宅で“看護” オンラインナースとは
超高齢化時代を迎え、看護師が介護・福祉施設など様々な場所で必要とされる中、個人のライフステージにあわせ柔軟に働ける新しい看護モデルを広めたいと奮闘する女性がいます。勤務していた総合病院を辞め事業をはじめたきっかけは、看護師として多忙を極めた末の出来事でした。 愛知県東浦町に住む、中嶋美世子さん(46)。今年1月、オンライン看護などを行う「ポケットナース」を立ち上げました。 「ポケットナース」の活動は、大きく2つ。1つ目は、在宅でオンラインナースとして働くこと。健康相談をメインに、毎日薬を飲んでいるか、食事はとれているか、精神的に不安定になっていないかなど、日常生活を不安なく過ごせるようサポートします。 2つ目が“つなぐこと”です。短時間でも看護を必要としている施設(老人保健施設・障害者施設など)と、日にちや時間でスポット的に集中して働きたい看護師とを繋ぎます。
仕事と家庭のバランスが崩れ…
中嶋さんが「ポケットナース」を始めたきっかけは、自身がうつ病を発症したことにありました。 専門学校を卒業し22歳から総合病院で看護師として働いてきた中嶋さん。30歳の時、勤め続けた病院で主任になりました。管理職となり仕事の責任が重くなったことと、母親として子育てが忙しい時期とが重なったと言います。 最終的に緊張の糸が切れてしまった時のことを、中嶋さんは振り返ります。 「実父の認知症もわかってきて先行きの不安もあった。新型コロナウイルスの蔓延で病院内が緊張感に包まれる毎日だったことが追い打ちをかけ、私の心も深刻な状態になって一旦休職したのですが、結局2021年7月に約20年勤務した病院を退職しました」 一度は、看護師を辞める決意をした中嶋さんでしたが、体調が回復するにつれ再び看護への情熱が芽生え、このまま”潜在看護師”として終わるのはもったいない、自分の経験を生かし社会貢献したいと思うようになりました。