東北清酒鑑評会、優等賞に12製造場の16点 本県、県別で3位
▽純米酒の部=小嶋総本店(米沢市、東光)亀の井酒造(鶴岡市、くどき上手)高木酒造(村山市、十四代)長沼(長井市、惣邑) 昨夏の酷暑、醸造は苦労 日本酒造りで「米が溶ける」とは「米の持つデンプンがブドウ糖に変わる」ことを指す。夏に高温になると生育が急に進み米が硬くなり、発酵過程でデンプンがブドウ糖に変わりにくくなる。ブドウ糖は酵母の働きでアルコールに変わるため、米の出来は酒の出来を左右し、昨夏の酷暑は本県酒蔵にも影響したという。 今回の出品酒に使われた2023年産米は夏に高温に見舞われ、溶けにくい米が多かった。多くの酒蔵が高温耐性を持つ山田錦を使用して醸造したが、アルコール成分を出すことに苦心し、味と香りのバランスにも苦労した蔵が多かった。 鑑評会は近年、甘さや香りを重視する傾向にある。後味の切れが良く、すっきりタイプの酒が多い県内酒蔵は評価が高まらない状況だ。県工業技術センター食品醸造技術部の石垣浩佳部長は「すっきりタイプは品質が一定だが、(芳醇な香りと甘みを持つ)他県の酒は時間の経過とともに膨らみが出て、それが評価された」と分析した。
鑑評会用の特別な酒を出品する酒蔵が多い他県とは違い、多くの本県酒蔵は市販酒を出品している。上位賞は逃したが、県内酒蔵は流行に左右されずに良い酒を造り続けており、石垣部長は「今年の酒も例年に負けない良い出来に仕上がっている」と語った。