小川山での出稼ぎキャンプ生活にて|筆とまなざし#381
イタリアクライミングトリップに向けての旅の準備。
洗濯物を干すとキャンプ地に生活感がぐっと増す。その感覚が心地良い。 6月は毎週のように小川山でキャンプをしている。といっても自分のクライミングではなく講習会の仕事のためだ。笠置山はすでにオフシーズンで岩がなかなか乾かないため、小川山まで出稼ぎに来ているのである。講習会はとてもやり甲斐のある仕事だ。とくにクラック講習は参加者のみなさんにも喜んでいただけているようで非常に充実感がある。まだまだ足が痛いため自分のクライミングはできないし、講習はちょうど良いリハビリにもなっている。そしてケガして仕事ができなかったぶん、旅の資金も貯めなくてはならない。 先週は3日間講習を行なった。一度帰ろうかとも思っていたがそのまま居残ることにし、雨の昨日はボルダージムへ。そして今日は溜まった洗濯物を洗濯し、この連載のために絵を描いてすごしている。明日からまた3日間講習をして、帰宅してから4日後にイタリアへ出発だ。 今回の旅ではほとんどキャンプ生活となるので、小川山に滞在しながら装備を検討している。テントはサマヤ。街のキャンプ場ではもったいないが、アルパインエリアでは本来の性能を発揮してくれるだろう。シャモニーの近くで生まれたブランドなので、故郷で使えるのがなんともうれしい。寝袋はいろいろ悩んだ末にコスパと重量が決め手となり、15年以上使ったモンベル#3を新調した。それから、ジェットボイルの蓋とコジー(クッカーに付いているネオプレンのやつ)を取り替えた。マイクロモというモデルを使っているのだけれど買ったときから蓋が外れやすくて使い勝手が悪かった。モンベルショップで相談するとジップというモデルの蓋が外れにくく、スペアパーツとして別売りしているという。ヨレヨレになったコジーもスペアパーツで購入。どちらも黒なのでちょっとシックになってしまったが、3000円弱で使い勝手は格段に上がりなんだか新品になったようだ。キャンプ生活が長くなるので、タープも持っていこう。アマゾンで買った安ものがなかなか優れもの。昨日の雨でも快適空間を作ってくれた。少し重いが長雨や強い日差しからテントを守ってくれるだろう。 さて、数年前まではロープなどの消耗品は買い換えも兼ねて現地で買ったほうが安かったが、このご時世だとそこまで安くはないらしい。そのあたりのギアは実際にパッキングしてみて再検討することにしよう。 長野県も梅雨入りしたが、あと3日間は好天に恵まれそう。キャンプ場の周りでは蝉の鳴き声が聞こえてくる。すっかり夏の装いになった廻り目平。白樺の木陰は最高の出稼ぎ環境である。
PEAKS編集部