最下位阪神は組織としていい方向に進んでいないのか?
内情がよくわからないという点で言えばチームモラルの問題もある。矢野監督は18日のヤクルト戦でルーキーの木浪が一塁まで全力で走っていなかったという姿勢を問題視して途中交代させた。だが、ベテランの糸井も、4-12で大敗した19日の巨人戦で8回、二塁走者として大山のツーベースでホームに生還できなかったという背信行為をした。三塁ベースを回る際に全力疾走を怠りスピードを落としたことが原因で本塁で憤死した。膝にある古傷が原因で全力疾走ができないという情報もある。それが原因で三塁ベースを全力で曲がり切れなかったのかもしれないが、そこまで悪いのならスタメンを外せばいい。また糸井が、この怠慢プレーで、どんなペナルティを受けたか不明だが、翌日も普通にスタメン出場していた(矢野監督は厳しいコメントは出していたが)。若手の怠慢プレーには厳罰を与え、その一方でベテランに甘い対応をしていれば、チームの統制は取れない。集団スポーツにおいてダブルスタンダードこそ厳禁なのだ。 またチームの失策数「18」は、広島に次ぐリーグ5位の数字。21日の巨人戦でも、9回に重信に盗塁を仕掛けられ、梅野がボールを握り損ねて外野へ抜けていくとんでもないスローで三塁まで進塁を許すと、ドリスが、暴投の自滅で貴重な追加点をノーヒットで与えてしまっている。とにかく“守乱”が目立つ。 里崎氏は甲子園でのエラーを無くす最善の策があるという。 「簡単ですよ。甲子園を人工芝にすればいいんですよ。土のグラウンドであるホームでのエラーが明らかに多い。土のグラウンドで守るのは高い技術がいるし、そういう技術力をコツコツ強化するには時間がかかります。巨人戦(21日)での木浪のフィルダースチョイスも土のグラウンドだからこそのイレギュラーでしたから」 里崎氏らしい極論。 つまりエラーが勝敗を分ける重要な原因であるのならば、本社、甲子園、フロントが一体となり、組織としてエラーを減らすための方策を考えるべきだと指摘するのである。ただでさえ土のグラウンドでの守備技術には、高度なものが要求されるのに、阪神は二遊間を固定することができず、金本前監督の時代には、“守備より打力”の方針があってキャンプでも守備の強化が疎かになっていた。 「そもそも阪神に他球団の戦力と比べて優勝するような個々の能力が揃っていますか? 僕の順位予想は5位です。監督が交替したプロの世界でよく起きるのが、前任者否定。それをやればたった1年で結果が出せますか? 課題だった打線の補強もできていない戦力で、もしチームとして高い目標設定をしているのならば無理があります。今年は、土台作りのシーズンじゃないでしょうか。どういう形で、その基礎を築き、3年後にAクラス、優勝するためにどうやってチームを作るかのビジョンを組織として固めることが大切でしょう」 里崎氏の主張はもっとも。だが、金本前監督が、若手育成、土台作りを掲げて、3年間指揮を執って今に至るという現実がある。金本前監督の2年目に2位になったが、ここから先3年間で、もう一度土台を作り直すとなると、都合6年間も遠回りすることになってしまう。人気球団である阪神の熱狂的ファンは、そこまで待ってくれないという厳しい現実もある。阪神は、今日から横浜に乗り込み昨年は相性の良かった横浜DeNAとの3連戦である。