「他の子と比べて出来が悪い!」。発達障害が原因で親から毎日叱責ーー就職先も強制され、うつになった彼女がようやく見つけた“幸せな恋愛”
「自分は誰にも釣り合わない人間だ」。西日本に住むエミさん(仮名、30歳女性)は、そのように悩んでいました。 【画像】「出会いがほしいが、騙されないか不安で踏み出せない」と悩む人が多い 小学生の頃から数字の扱いが苦手だったという、エミさん。両親に「同級生や他のきょうだいと比べて、あなたは出来が悪い」と言われて育ってきました。 「その影響か、つねに『私は人と比べて何もできない人間だ』という考えが抜けませんでした。就職先では、仕事ができていたとしても『自分はできていない』と思い込んだり、わからないことがあっても『何もできない自分が他の人の業務を止めてしまうのはダメなことだ』と聞けずにいたりしていました」(エミさん)
■「知り合いに障がい者だとバレてもいいのか」 そして5~6年前、ADHD(注意欠如・多動症)と診断されました。それまで生きづらさを感じていた原因がわかりホッとしたものの、診断結果を伝えた両親からは「そんなわけがない、診断結果がおかしい」と言われショックを受けたと言います。 「障害者手帳を申請する際にも、『知り合いに見られたら恥ずかしいからやめなさい』と言われたり、『知り合いに障がい者とバレてもいいのか』などと散々言われ、健常者からどう見られるのかを気にするようになりました。学生時代の知り合いとも疎遠になってしまいました」(エミさん)
就職の際には両親からは教師になることを強く求められ、気が進まない教員採用試験を4年ほど受けさせられました。他の会社に就職することも許されない日々だったそうです。 それに伴い、ADHD以外にうつの症状も出て、具合はどんどんひどくなっていきました。ようやく両親が教師になることを諦めてくれたものの、その頃には就職活動をする気力は残っておらず、仕事を探すことは難しい状況でした。 当然、恋愛にも前向きにはなれませんでした。出会いがあっても、発達障害を持っていることが負い目になっていたと言います。
その後、アルバイトとして就職し、とある男性と知り合いました。 「その方に『お付き合いしてほしい』と告白された際、うつや障害を持っていることを打ち明けました。『それでも気にしない』と言ってもらえたものの、『何もできない人間だ』と昔から両親に言われてきた言葉が頭を離れず、告白を断ってしまいました」(エミさん) そして、「男性とお付き合いしたい」という気持ちにもふたをしてしまいました。 ■障がい者の結婚の実態について情報は乏しい