なぜ久保建英はタブーを破ってW杯アジア2次予選モンゴル戦での史上最年少ゴールを予告したのか?
マジョルカでは6試合連続で、ラ・リーガ1部のピッチに立っている。アトレティコ・マドリードとの第6節、アラベスとの第7節では右MFで先発フル出場。前者ではポストを叩く惜しいシュートを放ち、帰国直前のRCDエスパニョールとの第8節ではあまり経験のない左MFで途中出場した。 「自分はこれから先が長いので、レパートリーを増やしていくことは非常にプラスになると思う。どこでもできる、と言うと何か強みがないと思われがちですけど、いまの自分はどんどん吸収していく段階なので。どこでもできる、というのを武器にしていければ。周囲のレベルがどんどん上がっていっているなかで、自分も負けじといまのところは適応できていると思いますけど、これからも置いていかれないように、食らいついていきたい」 東京五輪世代を中心とする陣容で臨んだコパ・アメリカを除けば、フルメンバーがそろう代表戦でまだ先発を果たしていない。最も長くプレーしたのは、後半開始から投入された先月のパラグアイ代表とのキリンチャレンジカップ。このときはクロスバー直撃の一撃を含めて、チーム最多タイの5本のシュートを放ってカシマサッカースタジアムを沸かせた。 右太ももを痛めたFW大迫勇也(ヴェルダー・ブレーメン)が不在の状況で、森保一監督は新たな選手の組み合わせを思い描いている。先発して長い時間プレーするほど放つシュートの本数が増え、久保に待望の初ゴールが生まれる確率も高まる。それでも、9月シリーズに続いて「17番」を背負う逸材は「この場で自分がどうだ、こうだと言うつもりはありません」とこう続ける。 「自分だけじゃなく、誰しもが試合の頭から出たいと思っているので。監督の決定がすべてだし、そのなかでチャンスをもらったすべての選手が、しっかりとコンディションを整えている。誰が出ても最高のサッカーができると思っています。エースストライカーがいないことは自分としても残念ですけど、しっかりけがを治してもらって、自分たちはいまできることをやるべきだと思っています」 実はラグビーのファンで、スペインでもリアルタイムで放送されていたワールドカップを、日本代表の試合を含めてテレビ観戦していたという。宣言通りに歴史を動かす初ゴールを久保が決めた瞬間、ジョセフジャパンに続く新たな興奮が、埼玉スタジアムから日本中へと広がっていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)