65歳以上の求職者数が10年で「2倍」に! やはり年金だけでは老後生活は過ごせない? 高齢者に人気の「再就職先」とは
「60歳で会社を退職して退職金を受け取り、65歳から支給される年金で穏やかに老後生活を楽しむ」。これは多くの人が望んでいる未来かもしれませんが、現実は理想とは大きくかけ離れている状況です。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える? 近年、長寿化による人生100年時代の到来や老後2000万円問題など、現役世代を終えた後の人生の過ごし方の課題が目立っています。本記事では、近年のシニア層が抱える課題と、ゆとりのある老後生活を送るためのヒントについて解説していきます。
65歳以上の新規求職者数が10年で2倍になっている
厚生労働省が公表している「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」のデータを見ると、65歳以上の新規求職者数は、2012年の約35万人に対して2022年は約71万人と2倍に増えています。直近10年のデータを見ても、すでに老後生活の長期化に伴い65歳以上の高齢者の労働人口が増加していることが分かります。 また図表1のとおり、定年年齢の引き上げや継続雇用制度の導入、定年制の廃止など、70歳までの就業確保措置をとる企業が増加していることも、65歳以上の労働人口が増加している理由の1つとして挙げられます。 図表1
厚生労働省 公共職業安定所(ハローワーク)の主な取組と実績
ゆとりのある老後生活に必要なお金と年金額のギャップ
総務省統計局が発表している「家計調査」(2022年)によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、図表2のとおり家計収支が毎月2万円以上マイナスになる可能性があることが分かります。 また、生命保険文化センターの調査では、ゆとりある老後生活に必要な生活費の平均が約38万円という結果も出ています。ゆとりある老後生活を望む場合には、老後の収入源の確保がより必要になります。 望む老後の生活スタイルや持ち家の有無、受給できる年金額などによって個人差はありますが、老後の家計収支のマイナスが大きければ大きいほど65歳を超えても働き続ける必要があるという事実に、多くの人が直面しているようです。 図表2
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要 さらに図表3のとおり、65歳以上の人が仕事をしている理由の1位は「収入がほしいから」であることからも、老後年金と現役時代の貯金だけでは老後生活に不安を覚えている人が多く、働き続けている現状があることが分かります。 図表3