「年金75歳まで繰り下げ」で約2倍になるが…安易な判断は危険。本当に“年金額が最大になる”繰り下げタイミングは?【元国税専門官が警告】
年金の受給額は、開始時期の選び方で大きく変わります。早めに受給を開始すると減額され、遅らせると増額されますが、「遅らせたほうが得」と簡単に判断するのは危険です。受給時期を誤ると、生涯の年金総額に思わぬ影響が出る可能性があります。また、働きながら年金を受け取る場合、収入次第で年金が減額されるリスクも。本記事では、元国税専門官・小林義崇氏の著書『僕らを守るお金の教室』(サンマーク出版)から、年金額が最大になる受け取り方について抜粋・編集してお届けします。 【早見表】国民年金・厚生年金「年金受取額」分布…2022年3年度末現在 2023.01.10
p.p1 {margin: 0.0px 0.0px 0.0px 0.0px; font: 12.0px 'Hiragino Sans'}年金は「受け取り時期」で額が変わる
年金をもらえるのは65歳からが原則ですが、自分で受け取り時期を早めたり(繰り上げ)、逆に遅らせたり(繰り下げ)することができます。これにより年金の受給額が変動し、生涯で受け取れる金額が変わります。 【繰り上げ受給】(60~65歳の間に受給開始) 1ヵ月あたり0.4%減額* *昭和37年4月1日以前生まれは0.5%減。 【繰り下げ受給】(65~75歳の間に受給開始) 1ヵ月あたり0.7%増加 繰り下げの場合、受給開始時期を後に設定するほど、1ヵ月あたりの受給額が増えます。もし75歳まで繰り下げれば年金額は184%に増額。つまり、ざっくり2倍弱にできるのです。 ただ、「年金は遅らせたほうがトク」と安易に判断するのは危険です。受給開始時期を遅らせることにはリスクがあります。 たとえば、受給開始時期を75歳まで繰り下げたとします。すると1ヵ月あたりの受給額は倍近くになりますが、76歳で死亡したら1年分しか年金を受け取れず、「もっと早くから受給しておくべきだった……」と後悔することに。なお、本人が死亡すると遺族が遺族年金を受け取れる場合がありますが、繰り下げ受給による加算は反映されません。 遺族年金の金額は、繰り下げ受給をしなかった場合と同じ金額。そのため結果的に、「繰り下げ受給をせず早めに年金を受け取っておいて、家族にお金を残したほうがよかった」となる可能性があります。そう考えると、「自分がいつまで生きられるか」という予測をベースに、最適な受給開始時期を考えなくてはいけません。
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