モノづくりの技術活かす…農業用の『全自動収穫ロボット』デンソーなどが共同開発 トマト等の収穫効率アップ
大手自動車部品メーカーの「デンソー」は、農作物を全自動で収穫するロボット=Artemy(アーテミー)を開発し、2024年6月19日、三重県いなべ市で公表しました。 【画像】画像認識AIで食べごろのものを判別し収穫されたトマト まだ青色の実も混じる中、ミニトマトの房の間を縫うように動く白いアーム。赤い実に狙いを定めて切りとっていくのは、全自動の収穫ロボットです。 いなべ市のこの場所は「デンソー」が手掛ける次世代農場です。地面はコンクリートに覆われていて土が全くない場所で、トマトがたくさん栽培されていて、トマト農場ならぬ「トマト工場」です。 19日、お披露目されたのは、全自動収穫ロボット「Artemy」で、デンソーとそのグループ会社が共同で開発しました。 「Artemy」は、青色の実もたくさん混じる中、間を縫って赤く熟れた実だけに狙いを定めてアームとハサミが器用に動き、正確にミニトマトの房を切っていきます。 そのアームは、工場でよく見るアームの形と同じです。デンソーの工場で使われているのと同じ形のアームが駆動して房をカット。ロボットに活かされていたのは、自動車部品メーカーの”モノづくり”で培ってきた技術です。 デンソーアグリ技術室の浜島幸一さん: 正しく房を撮影している部分がこのカメラです。房の位置、熟度をこのカメラで判定しています。 あわせて4カ所にカメラを搭載していて、自動運転に使われている画像認識AIが応用され、トマトの熟れ具合を10段階で判別し、食べごろのものを正確に選びます。 ロボットが収穫したばかりのトマトは、いい赤色でまさに食べごろです。 トマトの収穫作業は全作業時間の3割ほどを占めていますが、その作業をロボットが担うことで大幅な効率アップが期待できます。 デンソー・フードバリューチェーン事業推進部の大原忠裕部長: 工場で培ったロボットの制御、軌道制御といったものを技術として織り込んでおります。今後、収穫以外にもいろいろな作業、いらない葉っぱを取るとかの作業への展開も考えております。 高齢化や重労働で担い手不足が指摘される農業ですが、「Artemy」は自動車技術でその未来を切り開こうとしています。 2024年5月からトマトのハウス栽培が盛んなヨーロッパで受注を開始していて、今後は国内での販売も目指していくということです。 (東海テレビ)
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