藤井道人監督×道枝駿佑 映画界に生まれた新たな絆「声をかけてくれたらどんなことでも手伝います」
台湾の人にとって、特別な雪景色を
――本作は藤井監督にとって初の国際プロジェクトです。あらためて、この作品に込めた思いを教えていただけますか。 藤井 僕自身のルーツが台湾にあることも大きいんですが、やっぱり20代からずっと日本で頑張ってきたけれど、外の世界も見てみたいっていう時期がずっとあったんです。台湾に留学もしたり、何度も何度も足しげく通ったりして、いろいろな人と出会い、今回のチャンスをいただきました。無事に台湾で公開となったことに、心から安堵しています。 みっちーはもちろん、台湾の俳優であるシュー・グァンハンさん、清原果耶さんなど、素晴らしい俳優に出演してもらえました。映画の撮影にはつらいことが付きものなんですけど、今回はほぼゼロに近いんですよ。とても楽しい撮影でした。 ――道枝さん演じる幸次と、グァンハンさんが演じるジミーが出会う雪景色のシーンが、とても印象的です。 藤井 実は僕、すごく雪が苦手なんです。 道枝 ええ!? そうなんですか? 藤井 そうなの。前に雪で滑って骨折しちゃったことがあって。なのにどうして、雪景色が印象深い映画を撮ったかというと……ちょっと、これを見てください(藤井監督がスマートフォンを取り出す)。今回の企画書のうちの一枚なんですが。 ――まさに綺麗な、一面の雪景色ですね。 道枝 本当だ! 綺麗ですね。 藤井 たぶん、みっちーも初めて見るよね。最初に「この映画を撮ってほしいんです」って、この企画書を見せてもらったんです。台湾って、ほぼ雪が降らないんですよ。彼らにとって、雪景色そのものが特別な風景なんです。 それこそ台湾に住む方たちも、2019年以降のコロナ禍の影響で、会いたい人に会えない、行きたい場所に行けないもどかしさを感じていたはず。それは僕たちも一緒です。一生懸命につくってもらった企画書を見ているうちに「この映画をつくることで、彼らの特別な風景を形にしたい、叶えてあげたい」という気持ちが強くなっていきました。