英紙「日本企業が美術品を所有するのは、創業家が資産を保護するためだ」
アクティビストが指摘する日本企業の課題
以前も、そしていまも、正すべきことは多々ある。日本企業の取締役会は多様性に欠け、過半数を占める社外取締役が管理・統括するケースはほぼ皆無だ。また、株主アクティビズムは西欧の野蛮な慣行だと非難される。そのため、上場企業の経営陣は事実上、自由を手にし、株主の利益に直結するよりむしろ、自分たちの思いどおりになるかたちで会社を動かしている。 そうして得た自由をさらに確実なものにするため、日本の企業はほかの友好的な上場企業と「株式持ち合い」というかたちで手を結んでいる。持ち株分については経営陣への反対票を決して投じないという条件のもと、株式を大量に相互保有しているのだ。 とどめとして、日本の企業は、株主価値をただ拡大して利益の最大化を図るだけでなく、より大きな目的のために存在しているのだという言説を広めた。 米資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は長年の投資姿勢を覆して、企業がより責任もって自らの焦点を再調整し、さらに広範な「パーパス」を打ち立てるよう促すようになった。 しかし、日本の企業はそれよりずっと前から、自分たちにはより壮大な目的と、複数のステークホルダーに対する義務があるのだと、平然と言ってのけていた。そして、資本効率がどれだけ悪かろうと、日本社会はその恩恵を享受してきたと力説してきた。
Leo Lewis