市船で磨かれた信念「やりたくないことをやり続ける」。清水内定FW郡司璃来、冬の選手権に懸ける想い
人間性は非常に素直でかつ繊細
世代屈指のストライカーが、高校最後の大会を迎えようとしている。 千葉の名門・市立船橋において、1年時から主軸としてプレーしている郡司璃来。ストライカーとしてのフィジカルの強さ、スピード、そして足もとの技術でハイレベルな要素を持ち、ポストプレーから打開する突破、ワンタッチやフリーランニングでスペースを突いたり、インフロントやアウトフロントを駆使して正確なラストパスを送ったりすることができる。 【選手権PHOTO】堀北・ガッキー・広瀬姉妹! 初代から最新19代目の藤﨑ゆみあまで「歴代応援マネージャー」を一挙公開! 注目の逸材は清水エスパルス入りが内定しているが、高校最後の大舞台を前に何を思い、何を考え、何を見つめているのか。彼の心の内を聞いた。 ――◆――◆―― 「本当にあっという間ですね。正直、キツいことのほうが多かった3年間でした」 高校生活を振り返って、郡司はあどけない笑顔でこう口にした。 「でも、そのキツかったことは僕にとって絶対に克服しないといけないものでした。どうしても性格的にすぐに熱くなってしまったり、イライラしてしまったりでプレーを乱していたので、そこを波多秀吾監督をはじめとしたスタッフの皆さんが本当に親身になって、ときには厳しく接してくれた。本当に感謝しています」 1年時からそのずば抜けた能力を発揮していた郡司だが、当時からプレーの波が激しかった。乗りに乗っている時は手のつけられないようなプレーをするが、劣勢を強いられたり、厳しいマークにあったりすると、徐々にプレーが雑になり、ファールを取られることもしばしば。 当時はまだ1年生だったがゆえに、周りの先輩たちがフォローしていたが、学年が上がっていくうちに、この精神的なムラはチームにマイナスを及ぼす危険性もあった。 これだけを見ると、非常に扱いづらい選手のように映るが、人間性は非常に素直でかつ繊細。イライラしてしまう自分を誰よりも彼自身がよく理解していたし、イエローカードをもらった試合後に話を聞いても、「あれは本当に無駄でした。もっと冷静になれば違った展開になっていたと思います。でも、どうしても勝ちたくて、頭に血が上ってしまいました」と反省を口にすることが多かった。 勝ちたい、点を取りたい。この純粋で強烈な気持ちがあるからこそ、前線でチームのために全力でボールを追いかけて守備の急先鋒にもなるし、カウンターの際に複数人に囲まれて、足を削られても必死でボールをキープし、周りにつなげる。 強引なドリブル突破でフィニッシュまで持ち込んだり、フィニッシュすると見せかけて、フリーになった選手に優しいパスを送ったりと、攻守においてチームに貢献し続けた。 昨年、チームは苦しい1年を過ごした。プレミアリーグEASTにおいて残留争いに巻き込まれ、プリンスリーグ勢との入れ替え戦に進むことになった。その間に行なわれた選手権予選でも、チームは主軸を失うなか、決勝戦で日体大柏に敗れ、選手権出場は叶わなかった。 「本当に上手くいかなかった。でも、プレミアだけは絶対に落ちたくはなかった」と、愛媛FC U-18との入れ替え戦で決勝弾となる先制点を挙げ、プリンスリーグ降格という最悪の事態は免れた。
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