「100億円成長企業」、鍵はアントレプレナーシップ人材へのインセンティブ
サーチファンドに期待
■サーチファンドに期待 また、私が特に期待しているのが、個人が中小企業の経営人材として事業承継する仕組みのサーチファンドだ。アイデアや人脈のある優れた人材であっても、普通に中小企業に就職するのでは、たとえ社長になってもそれほど稼げない場合が多い。しかし、サーチファンドの仕組みを使えば、ストックオプションを付与することで、イグジットした際には相応の資産を形成できる。 こうしたインセンティブの構造が一般化してくると、これまで眠っていた中小企業のポテンシャルを生かしやすい。従業員数50人ほどの会社にとって社長ひとりの影響力はすごく大きく、経営トップがしっかりしてさえいれば成果は出る。 売上高100億円以上に成長する企業が増えてくると、そこと取引関係にある会社も恩恵を被りやすい。特に地方では雇用に与えるインパクトも大きく、日本経済全体が活性化していく起爆剤になる。守りから攻めの中小企業政策に転換することは、結果的に日本の未来を守るという結果につながるものと期待している。 ぬまがみ・つよし◎一橋大学経営管理研究科教授、同大学理事・副学長、組織学会会長を経て2023年4月より早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター研究院教授。現在、JFEホールディングス社外監査役、東京センチュリー社外取締役、荏原製作所社外取締役。
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