81歳を迎えた舞踏家・麿赤兒「この年齢になったからこそ…」、究極の希望も!?
威圧感のある風貌を生かした個性的な役柄で、ドラマや映画でも活躍している舞踏家・麿赤兒。50年以上にわたって率いている舞踏集団・大駱駝艦の人気作『クレイジーキャメル』が、「神戸文化ホール」(神戸市中央区)で上演されることに。麿が神戸市内で会見をおこない、作品の内容や、最近の身体との向き合い方について語った。 【写真】「究極の希望」を語る麿赤兒 全身を真っ白に塗った人々が、まさに大地を「踏む」かのようにうごめきながら、ときに呪術的な、ときにこうごうしい空間を作り上げる「舞踏」。一見とっつきにくい世界に思えるが、この『クレイジーキャメル』は、金粉の群舞が中心というグッと華やかな世界。しかもそこで語られるのは、恋に落ちた中学生たちの心象という、非常に親近感のあるテーマだ。 今回は女子中学生(!)を演じるという麿は「青春時代の三角関係はなんだったんだろう? という、僕の経験が入っています(笑)。男性にふられて、それがいつまでも心に残っている・・・という感じを遊んでみました」と発想の原点を語り、「曲はヴィヴァルディの『四季』です。春のめざめ、夏の盛り、秋の憂い、冬の厳しさを感じていただけるのでは。大駱駝艦のほかの舞台に比べたら、わかりいいのではと思います」と、楽しんでもらえる自信を見せた。 本作の初演から12年が経ち、81歳を迎えた今も、精力的に舞台で踊りつづけている麿。今回の公演も「(チラシの写真ほど)足が上がるかなあ?(笑)」と不安を見せつつも、年を取ったからこその発見や、表現ができることも多いと、前向きな姿勢を見せる。 「身体がチャッチャと動いていては、わからないことがわかってきました。年で身体がギシギシすることで生まれるギャップみたいなものは、この年齢になったからこそ味わえる」と、そのおもしろさを明かすとともに、「向こう(西洋)のダンスにはあまり『老』がないけど、日本のお能や踊りは、そこにフォーカスが当てられている部分が多い。生老病とあって『死』があるから、最後は死ぬことを舞台でやれたら本望です(笑)」と、究極の希望を語った。 麿のほかには村松卓矢、田村一行、松田篤史などが出演。公演は7月13日で、神戸文化ホールの「中ホール」で上演。チケットは一般4000円、25歳以下2000円ほか、現在発売中。 また神戸文化ホールは、2027年(予定)の三宮エリアへの移転に向けて特別プログラムを組んでいるので、今後の情報にも注目を。 取材・文・写真/吉永美和子