内水氾濫 浸水リスク確認を 熊本市が想定区域図を公表
熊本市は最大規模の雨が降った場合に、浸水の恐れがある場所や想定される浸水の程度を示した「内水氾濫」のマップを作成し、ホームページで公表した。内水氾濫は気候変動の影響で近年、各地で多発している。市は「よく使う道路や避難路を確認し、日頃の備えに活用してほしい」と呼びかけている。 内水氾濫は、大雨の際に下水道などの排水が間に合わず、低地で浸水被害を引き起こす現象。都市部で目立つ災害で、市内でも昨年7月に南区のゆめタウンはません周辺が浸水した。 作成範囲は市域の約3分の1に当たる1万796ヘクタール。中央、東、西、南、北の5区別と、全区統合版の計6種類のマップを公表。下水道の排水能力や過去の浸水実績などを基に、想定される浸水の深さを5段階で色分けした。内水氾濫のエリアは住宅の密集地や、堤防があって排水しにくい川沿いの低地などが目立つ。 市が公表している「洪水ハザードマップ」は河川の氾濫を想定しており、内水氾濫による浸水想定は盛り込んでいない。市河川課・雨水対策室は「ハザードマップでリスクがなくても、内水氾濫は起きる可能性がある。防災教育にも役立ててほしい」としている。
国は2019年の台風19号で内水氾濫による浸水被害が相次いだことを受け、21年に水防法を改正。排水用の下水道を管理する市町村などに対し、浸水想定マップの作成を促している。(臼杵大介)