生田斗真

生田斗真がヤン・イクチュンとW主演を務める映画「告白 コンフェッション」が、5月31日(金)に全国公開される。同作は、「カイジ」の福本伸行氏と「沈黙の艦隊」のかわぐちかいじ氏という日本漫画界が誇る黄金タッグによる原作コミックを実写化した作品。死を覚悟した親友の最後の“告白”を聞いてしまった男・浅井啓介(生田)と、言ってしまった男リュウ・ジヨン(イクチュン)。密室で進んでいく2人の“この上なく気まずい一夜”を、圧倒的なスリルとスピード感で描いたワンナイトサバイバル作品。今回は、ドラマ・映画・舞台と申し分ない経験を持ち、今後も活躍の幅を広げていくであろう生田が演じた、“思わず引き込まれるキャラクター”たちを振り返ってみる。 【写真】劇中では見られそうにない…！生田斗真＆ヤン・イクチュンの肩組みショット ■出世作の一つ「イケメンパラダイス」中津秀一 1997年に連続テレビ小説「あぐり」(NHK総合ほか)で子役として俳優デビューした生田。約27年役者としてのキャリアを刻んでおり、これまで正統派イケメンキャラから、潜入捜査官、復讐に燃える刑事、殺人鬼、ダークヒーロー、トランスジェンダー…本当に幅広い役をモノにしてきた。 そんな生田の“陽”なキャラクターに引き込まれ、今も強く印象に残っている作品といえば、中条比紗也さんの人気漫画「花ざかりの君たちへ」を実写化したドラマ「花ざかりの君たちへ～イケメン♂パラダイス～」(2007年、フジテレビ系)。生田は、女性であることを隠し、男子校に潜り込んだ堀北真希さん演じる主人公・瑞稀に引かれる中津秀一を演じた。 堀北さんや生田の他、小栗旬や水嶋ヒロ、岡田将生、溝端淳平、鈴木亮平といった今思えば相当豪華な俳優陣の中で、コミカルかつ真っすぐなハートの持ち主・中津を爽やかに演じ、爆発的な人気を博した。特にファンの間では“中津劇場”とも呼ばれる“妄想”シーンも人気で、ここを目当てに見ていた人も少なくない…かどうかはさておき、同作の演技が評価され、「第54回ザテレビジョンドラマアカデミー賞」助演男優賞や、「第11回日刊スポーツ・ドラマグランプリ」 助演男優賞を受賞した。 ■「ウロボロス～この愛こそ、正義～。」復讐を誓う刑事・イクオ 生田といえば洗濯用洗剤のCMが似合う正統派爽やかイケメンなのだが、今思い返して鮮明に浮かぶキャラクターは、“陰のある”人物も多い。中でも、神崎裕也氏の人気コミック「ウロボロス　警察ヲ裁クハ我ニアリ」を実写化した、2015年7月期に放送されたドラマ「ウロボロス～この愛こそ、正義～。」(TBS系)の主人公・龍崎イクオは印象的だ。 幼少期に目の前で大切な人を殺され、警察関係者に事件をもみ消されてしまったイクオと段野竜哉。15年後それぞれ刑事(イクオ)と暴力団幹部(竜哉)になった2人がひそかに協力し、警察の闇を暴くという物語で、生田が演じたのは普段さえない刑事だが、圧倒的身体能力を持ち、一旦スイッチが入ると常人離れした格闘能力で悪を粉砕するイクオ。竜哉役の小栗とは「花ざかりの君たちへ」以来の再共演となり、同作の会見では「『ウロボロス』というドラマは、絶対に小栗旬とやりたいと思っていました」と語るなど念願のバディ役で、息の合った演技を披露した。 さえない刑事としての表の顔、大切な人の敵＝金時計の男を追うために竜哉と協力して巨悪に迫る裏の顔…見事な切り替えで、生田の役者としての幅広さを知らしめるには十分なキャラクターだった。この作品では、生田演じるイクオの“先輩”にあたる警視庁警務部の警部補・田村小夏役として妻の清野菜名も出演。小夏の“本性”が明らかになるシーンでの2人が繰り広げるアクションは見応えたっぷり。今見返すとのちに夫婦となる2人の“真剣勝負”にエモーショナルな気分にもなれそうだ。 ■生田の真骨頂がさく裂！「土竜の唄」 そして、映画出演作の中で彼の代表作の一つに挙げられる「土竜の唄」シリーズの菊川玲二役も強烈だ。同作は高橋のぼる氏の同名漫画を宮藤官九郎が脚本、三池崇史監督が演出を手掛けて実写化。生田演じる金髪、童貞の落ちこぼれ警察官・玲二が潜入捜査官“モグラ”として犯罪組織に潜り込み、ターゲットを捕まえるために悪戦苦闘していく姿をコミカルかつスリリングに描く物語。2014年2月に第1弾「土竜の唄 潜入捜査官REIJI」が公開されると、2016年に「土竜の唄 香港狂騒曲」が、2021年には完結編となる「土竜の唄 FINAL」が公開された。 潜入捜査官役ということもあり、体を張った演技も注目を集めた同シリーズ。特に第1弾では予告編などでも使われていた「全裸で車のボンネットに縛り付けられる」というインパクト絶大なシーンにも挑戦し、大きな話題に。2013年11月の「第8回ローマ国際映画祭」コンペティション部門でワールドプレミア上映された際には、現地のイタリア人からも爆笑をさらったという。実際に真冬のガソリンスタンドで洗車機を借りて撮影したそうで、「なかなかこういう機会もないので、いい経験になりました(笑)」と当時のイベントで振り返っていた。ある意味ハチャメチャなキャラクターだが、潜入捜査官ということでやはり生田はここでも真骨頂の“陰のある”役で魅せた。 ■「告白 コンフェッション」とは そんな生田の主演最新作が「告白 コンフェッション」。雪山で遭難し死を覚悟した親友から勝手に“罪の告白”をされてしまい、それが原因となって生田演じる浅井が死の恐怖に対峙(たいじ)することになる、ある意味“流れ弾”が当たったかのような巻き込まれ方。ストーリーもさることながら、恐怖・スリルにおののく表情をさせたら彼の右に出る者はいないんじゃないか、という表情を今作でも見せてくれている。 オファーを受けた時からかれこれ約5年越しの公開がかなうということで、4月の完成披露試写会では「本当にとてつもない怪物級の映画が出来たと思っております」と自信たっぷりに語っていた生田。Leminoではメイキング映像「『告白 コンフェッション』Behind the Scenes」が公開されており、「2、3日肩こりが取れないかもしれないくらい没入してもらえる作品」とコメント。予測不能な物語の結末がどうなるのか。生田の演技に引き込まれ、肩こりしながら見届けたいところだ。 ◆文＝森井夏月