【#佐藤優のシン世界地図探索51】宗教家が導くプーチンの「ウクライナ戦争処理」
佐藤 戦争を止めるには、政治家の力、外交官の力をもってしても無理です。そんな時に必要なのは、宗教家の力です。宗教家の力によって停戦に持ち込むのが現実的です。 ――それが、故・池田大作名誉会長と、ローマ教皇の言葉になる。 佐藤 そういうことです。ウクライナ戦争の停戦に関して、故・池田大作氏は昨年1月に【ウクライナ危機と核問題に関する緊急提言 「平和の回復へ歴史創造力の結集を」】を発表しています。そこにはこうあります。 『昨年2月に発生したウクライナを巡る危機が、止むことなく続いています。 戦火の拡大で人口密集地やインフラ施設での被害も広がる中、子どもや女性を含む大勢の市民の生命が絶えず脅かされている状況に胸が痛んでなりません。(中略)"戦争ほど残酷で悲惨なものはない"というのが、二度にわたる世界大戦が引き起こした惨禍を目の当たりにした「20世紀の歴史の教訓」だったはずです。 私も10代の頃、第2次世界大戦中に空襲に遭いました。火の海から逃げ惑う中で家族と離れ離れになり、翌日まで皆の安否がわからなかった時の記憶は、今も鮮烈です。 また、徴兵されて目にした自国の行為に胸を痛めていた私の長兄が、戦地で命を落としたとの知らせが届いた時、背中を震わせながら泣いていた母の姿を一生忘れることができません。(中略)現在の状況を何としても打開する必要があります。 そこで私は、国連が今一度、仲介する形で、ロシアとウクライナをはじめ主要な関係国による外務大臣会合を早急に開催し、停戦の合意を図ることを強く呼びかけたい。その上で、関係国を交えた首脳会合を行い、平和の回復に向けた本格的な協議を進めるべきではないでしょうか』 これはウクライナとロシアの双方に言えることですが、両国ともプーチン、ゼレンスキーという愚かな指導者に率いられて戦争をしています。不幸なのは国民ですよ。 ウクライナの停戦は、故・池田大作氏の戦略とフランシスコ教皇の提言によって成されます。この池田大作氏の緊急提言はローマ教皇のいうところの「白旗をあげる勇気」と同じ発想です。ローマ教皇の前に、すでに池田大作氏が言っています。だから、最終的にはこのふたりの宗教家の力によって停戦に持ち込むしかありません。 次回へ続く。次回の配信は2024年4月5日(金)予定です。 取材・文/小峯隆生