【#佐藤優のシン世界地図探索51】宗教家が導くプーチンの「ウクライナ戦争処理」
佐藤 そうです。そこで、ロシアはドニエストルへ軍隊を本格的に送ります。そしてウクライナが弾切れになったタイミングで、黒海沿いをヘルソン、ムイコライウ、オデーサから繋げてしまうという計画です。 ――今、ウクライナは和平に持ち込まなければ、さらに厳しい状況になりそうですか? 佐藤 これからロシアは徹底して交戦するので、首都キエフを獲りにいく可能性があります。ウクライナが抵抗できない段階になれば、首都陥落はシンボリックですからね。首都が堕ちれば皆、首都から逃げますよね? ――そりゃ、逃げます。 佐藤 その敗走する姿が全世界にオンエアされます。すると、ウクライナは勝っていると言い張れますか? ――無理だと思います。 佐藤 このシナリオの場合は、ロシアはこれから2年ほどかけて完全にやり遂げるでしょう。ウクライナの国家自体をガタガタにして、"EXウクライナ"にするということです。 ――Exit、つまり終了、ですね。 佐藤 「かつてそういう国がありましたね」ということになります。 ――そうなると、ウクライナから大量の難民がEUに流れ込みますね。 佐藤 「EUにはそのくらいのツケを払ってもらおう」とプーチンは思っていますよ。 ――今、ウクライナが手を打たないと、東欧、西欧が大変な事になるのではないですか? 佐藤 ウクライナは今、ロシアとの交渉を禁止にしています。交渉というのは、双方が認めないと交渉になりませんからね。 ――はい。 佐藤 だから、ウクライナは自分たちだけでその停戦交渉に踏み切ることはできないと思います。外部から介入しないと実現は不可能です。 ――ここでバチカンのメッセージが効いてくるのですか? 佐藤 ゼレンスキーはバチカンの言うことは聞きませんよ。動くのはウクライナにお金や武器を出している国です。 ――米国ですか? 佐藤 そうです。しかしバイデンには出来ません。だから、トラさんの復活を待つしかないのです。 ――トランプ次期大統領候補、でありますね。 佐藤 トラさんは無駄なエネルギーを使いません。この戦争は、あくまでバイデンの戦争だと思っています。トラさんはメキシコからの不法移民対策など、もっとやらないといけないことがたくさんあると思っていますからね。 ――すると、年内の講和は無理なのでしょうか?