障害者虐待 23年度、茨城県内54件 被害67人、最多更新
茨城県内で2023年度に発生した障害者虐待件数は前年度比4件増の54件、被害者は11人増の67人となり、いずれも過去最多を更新したことが25日、県のまとめで分かった。相談や通報件数も最多で、県は「虐待防止に対する意識の高まりが、通報さらに虐待件数の増加につながった」とみる。 県障害福祉課によると、施設や事業所での虐待は前年度と同じ18件、家庭内での虐待は4件増の36件だった。被害者は11人増の67人で、死亡事例はなかった。相談や通報の件数は前年度と同じ169件。 虐待行為の類型(重複回答)は、暴力を振るうなど「身体的虐待」が最も多い33件。次いで、暴言を浴びせるなど「心理的虐待」18件、金銭を使わせないなどの「経済的虐待」16件、放棄や放置の「ネグレクト」6件、「性的虐待」4件と続いた。 被害者の障害別(同)では、知的障害が49人で最多。ほかに精神障害15人、身体障害4人、発達障害2人などだった。 県はこれまで、啓発用パンフレットを配布するほか、関係職員らを対象とした研修などを実施。同課の担当者は「こうした取り組みを今後も行い、虐待の防止や早期発見につなげたい」と話している。 厚労省のまとめによると、全国で発生した23年度の虐待件数は3477件、被害者は死亡2人を含む4641人に上った。22年度から398件、1159人増加し、いずれも過去最多を更新した。 同省は、グループホーム運営会社「恵(めぐみ)」(東京)の事業所が食材費を過大徴収した問題を自治体が「経済的虐待」と認定したことも影響したとしている。 調査は障害者虐待防止法に基づき12年度以降、毎年実施。精神科病院での虐待は含めていない。
茨城新聞社