「子供が死んだらどうするんだ! 殺人罪ぞ!」81歳被害者は顔を殴られながら叫んだ…「ルフィ事件」実行犯リーダー(23)が語った凶悪犯行の一部始終
父親の抵抗
母親はすぐに実行犯に口元をふさがれ制圧された。他の実行犯らも押し入り、2階に向かった。そこには、夕食を終えてテレビを見ている父親と息子がいた。突然の強盗の襲来について父親は調書で次のように語った。 「この後の記憶は、あまりに突然で、抵抗するのに必死だったのと動揺していたので、記憶が曖昧ですが、2階にいると、部屋に男が2人入ってきました。一瞬何が起きたのか全く理解できませんでしたが、咄嗟に強盗だと思いました。強盗の1人とお互いつかみ合いになり、取っ組み合いになりました」(父親の調書) 実行役らは数人ずつに分かれ、それぞれ家人を制圧していく。父親が2人の実行犯と相対しているとき、息子もまた、同じように実行犯に制圧されようとしていた。その最中、父親がふと見やると、息子が血まみれで倒れていることに気づいた。 「2階の台所床の上に仰向けに倒れる息子が目に入りました。息子は顔が腫れ、床に血が広がり、意識がなかった。記憶では、床の上に倒れる息子の頭にタオルを敷いてあげたと思うのですが、そのときも血が噴き出ていました」(同) 突然押し入ってきた強盗たちが、息子をこんな目に遭わせたのだと察知した父親は、〈お前ら、子供が死んだらどうするんだ! これで死んだら殺人罪だ! 早う、病院に連れて行かにゃいけん!〉と実行犯らを怒鳴りつける。父親はその後も、実行犯らに手を縛られそうになったが抵抗し、また顔を殴られても、何度も叫んだ。 〈子供が死んだらどうなるんだ! 殺人罪ぞ!〉
まずいなと思った
息子を殴ったのは永田被告だった。直前に、息子を制圧するため実行役2人で対応していたが、揉み合い状態が続いていた。永田被告が加わっても「団子状態になって、居間とダイニングキッチンを行ったり来たりして、転んだり、乱闘じゃないですが動き回っていた」(永田被告の証言)と息子は激しく抵抗していたという。これに永田被告は焦りを覚える。 「まずいなと思いました。3人がかりでも、全く制圧できない。現場リーダーとしての立場や、他の実行役を見る私の目線……尊敬しているとか、頼りにしているとか、散々言われてたので、メンツが潰れ、リーダーとしての立場も潰れる。その意味でまずいなと思いました」 焦った永田被告がこの後、取った行動とは何か。【後編】では、その残忍極まりない犯行内容を詳述する。 高橋ユキ(たかはし・ゆき) ノンフィクションライター。福岡県出身。2006年『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』でデビュー。裁判傍聴を中心に事件記事を執筆。著書に『木嶋佳苗劇場』(共著)、『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』など。 デイリー新潮編集部
新潮社