「子供が死んだらどうするんだ! 殺人罪ぞ!」81歳被害者は顔を殴られながら叫んだ…「ルフィ事件」実行犯リーダー(23)が語った凶悪犯行の一部始終
モンキーレンチを加えて
2件目はその翌12月5日、東京都中野区での強盗。指示役そして永田被告を含む6名の実行役のほか、運転手役、道具調達役で実行された。宅配業者を装って突入し、家人に暴力をふるったうえで、金のありかを聞きだし、約2200万円を奪って逃走。報酬150万円を得た。「概要を聞いた時、やさしい強盗だと思った。想像していたのはもっと血があふれるような凄惨な強盗だと思っていた」と、秦野市の事件と同様、被告人質問で当時の心境を振り返る。ところがこの中野の事件において永田は、家人を殴りつけるなどした際、激しい抵抗に遭った。そのために「キムさんと次の案件の内容を具体的に詰める際に、道具について『モンキーレンチを加えてください』と伝えました」(同)という。 「中野の事件の被害者はとても強く、共犯が加勢してくれる予定だったが、最初はそれがなく、一度撤退して再突入するという、私にとってはあり得ない状況だったので、すぐに制圧できるように、用意してもらいました」
殺しちゃいけませんよ
そして2022年12月21日、3名の指示役、永田被告含む6人の実行犯、運転手などで、広島市内の時計買取販売店兼住宅への強盗を敢行する。ここには父親(当時81)、母親(同75)、事件で大きな被害を負うことになる息子(同49)が住んでいた。突入前、指示役「キム」は永田と繋がったテレグラム通話をスピーカー状態にするように求め、実行役らが乗る車でこう呼びかけたという。 〈殴ったり蹴ったりしないと報酬あげません。遅れて来たカルパスくんがモンキーレンチでじゃんじゃんやってくれます。なので皆もどんどんやってください。ただし、殺しちゃいけませんよ〉 “カルパス”とは永田のテレグラムアカウント名だ。当日、ギリギリまで石川県で仕事をしてから、遅れて合流していた。「キム」がこう呼びかけたのを合図として、実行犯らは車を降りた。まず宅配業者を装った2名がインターフォンを鳴らす。応対したのは母親だった。 「2人の男は両手で段ボール箱を抱えていましたが、前にいた男がドアの隙間から足だけ入れて、閉まらないようにしてきました。靴下とサンダルを靴で踏まれて、次の瞬間、前にいた男が中に押し入ってきたのですが、足を踏まれたまま押されたのでそのまま仰向けに倒れ、後頭部を床に打ちつけました。私は2階にいる夫に『宅配じゃない、泥棒じゃけ!』と大声で叫びました。ですが夫は耳が遠い。息子に聞こえて欲しいと思って声を出しました……」(母親の調書)