東野圭吾氏に、自らの言葉で執筆のきっかけを与えた小説を映画化する「ブラック・ショーマン」に主演する福山雅治と、初共演の有村架純

　福山雅治（55）が、俳優としての代表作の1つ「ガリレオ」シリーズの原作者・東野圭吾氏に、自らの言葉で執筆のきっかけを与えた小説を映画化する「ブラック・ショーマン」（田中亮監督、25年公開）に主演することが9日、分かった。映画への主演は、同氏の原作を映画化した22年「沈黙のパレード」以来となる。劇中では、超一流マジシャンを演じる。めいを、初共演の有村架純（31）が演じる。 【写真】有村架純の大胆背中ショット 　福山と東野氏が、宿命とも言える再タッグを組んだ。20年に出版した原作「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」（光文社）は、新作の主人公を考えていた東野氏に、福山が「ダークヒーローを演じてみたいんです」と語ったことが執筆のきっかけとなった。同氏は、96年に発表した「ガリレオ」シリーズが、フジテレビ系で07年10月期に連続ドラマとして放送されて以降、主人公の天才物理学者の湯川学と演じる福山が「もはやどちらでもいいんじゃないかと思うくらい私の中で2人は同化しております」と語るほど福山に厚い信頼を寄せる。 　福山からのリクエストに、東野氏は「なるほど福山さんの悪党ならぜひ見てみたいと思ったのが、『ブラック・ショーマン』執筆のきっかけです」と振り返る。そうして生まれた同作の映像化を製作側が打診し、主演に福山の名前を挙げると、同氏は「それは当然でしょう」と快諾。「またいつかお仕事ご一緒できたらいいですね」と語り合っていた福山も快諾したのは、自然な流れだった。 　福山が演じる神尾武史は、米ラスベガスを拠点に活躍していたマジシャンで、東京でバーを経営。頭が切れ、人間心理に詳しく、誘導尋問やだましはお手の物で、鮮やかなほどに手癖が悪く、警察や容疑者の所持品を一切バレることなく、のぞき見ることができる。福山は「僕が演じる神尾武史は元マジシャン。手品には口という文字が3つ内包されています。彼は虚実ない交ぜの言葉と行動で非日常の空間を作り上げます」と役どころを評した。 　物語は、元中学校教師の兄・英一が何者かに殺された武史が、マジシャンならではの方法で殺人事件の謎に挑む。武史は金に細かく、立て板に水を流すようにウソをつく一面もあり、福山は「『つまらない真実よりも面白いウソのほうがいい』そんな風に描いていければと思っています。東野先生から託された新時代のダークヒーロー神尾武史へと準備を重ねます」と、役作りについて語った。 　有村は、2カ月後に結婚を控えながら父・英一の突然の訃報を受け、実家のある町に戻った不動産会社勤務の建築士・神尾真世を演じる。叔父の武史と再会し、バディを組んで殺人事件の解決に向けて奔走する。「そんなつもりじゃなかった、というささいなことから大きなことまで、生きているとあると思います。あの時ちゃんと向き合う勇気を持っていれば回避できたことも、自分の中の恐れが邪魔をしてボタンを掛け違えてしまう。自分自身を振り返りながら真世と一緒に過ごしていきたいと思います」と役どころと役作りについて語った。 　福山は、有村との初共演について「常に心を込めて向き合う誠実さと、作品に殉ずる覚悟を感じています。どんなセッションになるのかとても楽しみです」と期待。有村も「初めてお会いした際に、作品を一緒に作れたら良いですね、なんてお話ししたことを覚えています。すてきなバディを組めるよう皆さんとともに最後まで頑張ります」と意気込みを示した。 　クランクインは、10月下旬を予定している。東野氏は「主人公は人格者でも正義漢でもなく、人をさます快感だけを求めて行動します。兄殺しの謎を追うにしても、まともな手段は取りません。福山さんの悪党ぶりが今から楽しみです」と福山に期待。「そんな主人公に振り回される有村架純さんの演技にも期待大です。名コンビ誕生を心よりお祝いいたします」と有村にもエールを送った。 　福山は「東野先生が描かれたブラック・ショーマンの世界、そして原作ファンの皆さまのご期待に沿いながら、さらに上回っていくような映像作品にすべく尽力いたします」と誓った。 　▽田中亮監督　東野圭吾さんによって生み出された、「謎を解くためなら手段を選ばないニューヒーロー」に福山雅治さんが命を吹き込む。そしてバディとなるめいには有村架純さん。これほど胸躍る組み合わせがあるでしょうか。原作を初めて読んだ時にページをめくる手が止まらなかったあの疾走感と高揚感を、映像でも体験していただけるようにキャスト・スタッフ一同全力を尽くします。映画「ブラック・ショーマン」が繰り広げる最高のエンターテインメントショーにぜひ酔いしれてください！ 　◆「ブラック・ショーマン」元中学校教師の神尾英一が何者かに殺された。2カ月後に結婚を控えていた神尾真世（有村架純）は、父の突然の訃報を受け、実家のある町に戻る。コロナウイルスのまん延以降、観光客も遠のき、活気を失ってしまっていた町に起こった殺人事件…多くの教え子から慕われていた英一はなぜ殺されなければならなかったのか。真実を知りたいと願う真世の前に現れたのは、かつてラスベガスで名をはせた元マジシャンの叔父・神尾武史（福山雅治）だった。武史は、卓越したマジック（＋手癖の悪さ）とメンタリスト級の巧みな人間観察＆誘導尋問を武器にして、めいの真世とともに、大切な家族が殺された殺人事件の謎に挑む。