キオクシアHD、来年6月までに上場へ-韓国勢と戦えるか焦点
オムディアのデータによると、生産規模や積層化技術で先行する韓国勢がNAND型フラッシュメモリー市場で5割超のシェアをおさえる一方、キオクシアは18%にとどまる。南川氏は、同社はここ4-5年、資金難から開発が遅れ韓国サムスン電子との技術差が拡大していると指摘。近年では生成人工知能(AI)ブームの恩恵を受けるSKハイニックスの後塵(こうじん)も拝する。
韓国勢はNANDに加え、AI半導体ブームにより需要が急増する広帯域メモリー(HBM)も生産するが、キオクシアHDはNAND専業メーカーであることから、韓国勢よりも半導体市況の影響を受けやすいリスクも抱える。
巻き返しに向けて鍵になるのがデータセンター向けだ。キオクシアHDはスマートフォン向けが売り上げの過半を占めており、足元で需要が拡大するデータセンター向けは手薄。南川氏はキオクシアHDが開発しているデイジーチェーン技術を例に挙げ、「データセンターに入れるような新しい技術で一気にシェアを取っていかないといけない」と指摘する。
キオクシアHDの今後を巡っては、膠着(こうちゃく)しているWDとの経営統合に向けた交渉も焦点となる。昨年10月にはキオクシアHDに間接出資するSKハイニックスの幹部が統合に反対すると表明していた。
南川氏は、米ウエスタンデジタルは業績が低迷し、技術力も際立っているわけでもないため、「一緒になるメリットはほとんどない」と強調。
NAND専業メーカー同士の統合では「一本足であることには変わりがない」ため、市況悪化による業績悪化を回避するためにもDRAMメーカーと提携するなど「長期的には両方持つ必要は絶対ある」と述べた。
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Yuki Furukawa