年金にも【額面と手取り】があった!老齢年金から天引きされる「税」や「社会保険料」を整理
《厚生年金・国民年金の受給額》平均月額いくら?
ここで、老齢年金の平均額について見てみます。 日本の年金制度は、1階部分の「国民年金(基礎年金)」と、2階部分の「厚生年金」から成り立ちます。国民年金の加入対象は、原則として国内に住む20歳~60歳のすべての人です。これに上乗せして、会社員や公務員などのサラリーマンは厚生年金に加入します。 厚生年金加入月数が全くない人の場合、老後に受け取る年金は国民年金のみです。また、厚生年金加入期間がある人は、国民年金に上乗せして厚生年金を受け取ります。 今のシニア世代が受け取る、国民年金と厚生年金の平均年金月額を、厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から確認しておきましょう。 ●国民年金の平均年金月額 男女全体平均月額:5万6316円 ・男性平均月額:5万8798円 ・女性平均月額:5万4426円 ●厚生年金(国民年金を含む)の平均年金月額 男女全体平均月額:14万3973円 ・男性平均月額:16万3875円 ・女性平均月額:10万4878円 厚生年金の被保険者は下記のように第1号~第4号に区分されており、上記は民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」です。また、この厚生年金保険(第1号)の年金月額には国民年金の月額部分も含まれています。 厚生年金の被保険者区分 ・第1号:下記第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人 ・第2号:国家公務員共済組合の組合員 ・第3号:地方公務員共済組合の組合員 ・第4号:私立学校教職員共済制度の加入者
物価上昇に対抗できる資産形成を
今回は、意識調査の結果や年金から天引きされるお金を解説し、リアルな老後生活について確認しました。これにより、具体的な老後の生活イメージを持てたでしょうか。 老後資金について確認した結果、不安を感じた方もいるかもしれません。現代では、老後資金を自ら準備する必要性が高まっています。海外では資産運用が一般的で、日本でも物価上昇が進む中で現預金だけに頼るのは難しくなっています。これは、物価上昇によりお金の価値が目減りしてしまうためです。 資産運用にはリスクがありますが、長期的な計画のもと資金計画に取り入れることで、リスクを抑えながら資産を増やすことが期待できます。その際、リスクを抑えるために「分散」を意識することが重要です。分散には「時間の分散」「地域の分散」「資産の分散」の3種類があり、これらをバランスよく組み合わせることでリスクを軽減できます。 早い段階で老後資金の準備を始めれば、長い運用期間を活用することができます。長期投資を意識して計画的に資産を増やしていくことで、将来の安心感を得られるのではないでしょうか。
参考資料
・厚生労働省「生活設計と年金に関する世論調査(主な調査結果)」 ・厚生労働省「保険料(税)の特別徴収」 ・厚生労働省「介護保険制度の概要」 ・厚生労働省「高齢期における年金制度」2023年10月24日 ・豊中市「公的年金からの特別徴収額が10月から急に高くなったのはなぜですか」 ・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
堀江 啓介