【ラグビー】クライストチャーチボーイズ高の渕上裕が、2年連続で伝統の一戦に出場。トライも挙げる
普段の公式戦とはまったく違う雰囲気なのは言うまでもない。選手たちも緊張しているのか、キックオフでは、普段ではありえないミスが起こるほどだった。 試合開始まもなくしてCBHSが敵陣ゴール前のラインアウトのチャンスを迎える。昨年と同様に得意としているモール攻撃でトライを狙う。 耐えるクライスト・カレッジに対して、背番号9を付けた渕上がインゴールに飛び込んだ。昨年の伝統の一戦に続いて今年も渕上がトライを挙げた(5-0)。 その後は、お互いにトライを奪い合いシーソーゲームが続いた。FW戦でプレッシャーを受けていたCBHSは反則を繰り返しシンビン選手が出た(32分)。 すかさず数的有利を活かしたクライスト・カレッジがスクラムからBKに展開してトライを奪う。10点のアドバンテージを得たクライスト・カレッジが25-15のリードでハーフタイムを迎える。昨年以上に白熱の展開となった。
◆後半ギアを上げたCBHSが逆転勝利で伝統の一戦を制す。
クライストカレッジに勢いのある前半戦だったが、後半に入ると流れが一変した。 前半と同様に後半始まってすぐにトライを挙げたCBHSが3点差に詰め寄る(22-25/後半3分)。 続いて、後半13分にも1トライを追加したCBHSが10点のビハインドから一気に逆転に成功(29-25)。 再び流れを引き寄せようと試みるクライストカレッジに対して、CBHSはFW戦で奮闘して試合を有利に進める。そして後半20分、ターンオーバーから1トライを追加して34-25のセーフティーリードに持ち込んだ。 その後もCBHSが気を緩めることなく試合をコントロールした。後半はクライスト・カレッジをシャットアウト。34-25のスコアで伝統の一戦の勝利を手にした。
試合が終わった瞬間にサイドラインから生徒たちが駆けつける。伝統の一戦ならではの光景が見られた。 勝利したCBHSの選手を祝福するためにたくさんの人だかりができる。笑顔があふれる一方で、負けたクライスト・カレッジの選手たちが肩を落としていた。 同じピッチでふたつの物語が作られた。 いろいろな問題を抱える現在のNZラグビー。そんな中、クラブラグビー、スクールラグビーで純粋にラグビーを楽しんでいる姿がある。 今年もピッチをぐるっと囲んだ大勢の観客で盛り上がった伝統の一戦。日本人選手、渕上の活躍を嬉しく思うとともに、NZラグビーを本当の意味で支える大切なものを見せてもらった気がする。 (文:松尾智規)