いよいよフル代表デビューの18歳・久保建英が史上最年少代表ゴール記録に無関心の理由
公式練習に先駆けて公式会見に臨んだ森保一監督は「100%確定しているわけではない」と前置きしたうえで、トリニダード・トバゴ戦の先発メンバーに対してこう言及した。 「これまで私がフル代表の監督になって招集させてもらった選手たちをベースに、先発は考えて準備していこうかなと考えている」 指揮官の青写真通りならば久保の先発はない。 国際親善試合であってもベンチ入りは最大23人と、国際サッカー連盟(FIFA)の規約が改められていることもあり、キリンチャレンジカップへ招集された27人のなかから試合当日は4人がベンチ外となる。 コパ・アメリカに臨むメンバーにも名前を連ねていることを考えれば、久保がベンチ外になる可能性も否定できない。ただ、いざピッチに立てばやるべきことは決まっている。お互いの特徴も十分に把握していないがゆえに、コンビネーションも完全ではない。ならば、いま現在の自分自身にできる、最大値のパフォーマンスを臆することなく披露していくしかない。 FC東京で積み上げてきたプレーに、今回の短い合宿で得たフィニッシュへのより高い意識が融合された結果としてゴールネットが揺れれば――金田喜稔が1977年6月15日の韓国代表戦でマークした、19歳119日の歴代最年少ゴールを大幅に更新するが、久保は意に介していない。 「自分はチャンスがあれば頑張るだけなので。特に記録を気にすることはないですし、記録のためにサッカーをやっているわけじゃないので」 ピッチの外に目を向ければ、国際間移籍が可能になる18歳となったことを受けて、今夏の海外移籍をめぐる日本国内の報道がかまびすしい。これまでは下部組織時代に所属した古巣バルセロナへの復帰が幾度となく報じられてきたが、今週に入ってからはレアル・マドリードやパリ・サンジェルマン、マンチェスター・シティなどのビッグクラブの名前があがっている。 2019年6月4日から始まった18歳の1年間で、どのような軌跡を描いていくのか。高まるばかりの周囲の関心にも、久保は泰然自若としていた。 「まず自分は1年区切りで見ていないので。いまから18歳の最後の日に何をする、という具体的なことは考えていません。いまは9日までまず活動があって、その後にまた11日から活動があるので、日本代表の2つの活動に集中していければと思います」 トリニダード・トバゴ戦のチケットは前売り段階で完売した。豊田スタジアムのピッチに立ったときには、どのようなプレーで魅せてくれるのか。身長173cm、体重67kgの体に夢と希望、可能性、そして大人の思考回路を搭載した久保の未知へのチャレンジが幕を開ける。 (文責・藤江直人/スポーツライター)